鳴沢了刑事シリーズ。
ここ最近このシリーズを読んでます。
結構夢中になりますね。
説明 注!ネタバレ
概要はというと、凶悪事件を追っていた鳴沢了。
しかし、配転先は生活安全課。
なんだかなっていう感じで日々業務をこなしていたが、マルチ商法の詐欺事件の担当になり。
アメリカ時代のルームメイトが日本にやってくるし、その妹が別のDV事件の関係者だったり。
またそのDV事件の関係者がマルチ商法の詐欺と関係があったりと。
ちょっと偶然が重なりすぎないかって。
読んだ時の感想
堂場瞬一氏のこの鳴沢了シリーズ。
結構好きになって読んでいます。
何がいいかと言うと、融通が利かないほどストイックなところかな。
正直もう少し臨機応変に対応したらと思うんですが、なかなか不器用で。
他の小説で出てくる鳴沢了って、今までのイメージだと、大藪春彦氏の伊達邦彦に近いイメージを持っていました。
この伊達邦彦って、「野獣死すべし」で初登場した、もうスーパーマンのような人物です。
コンピュータのごとく精密に計画をします。
ストイックでハングリーで。
この野獣死すべしでは、伊達邦彦は、アメリカのハーバード大学大学院へ進学します。
頭もいいんです。
まぁ、大藪春彦ファンであれば、この伊達邦彦は、一種のヒーローのような存在です。
大藪春彦の小説の中では、たまにこの伊達邦彦が登場しますが、登場は全て異次元の特殊な人物のような形で出てきます。
いいとこどりみたいな。
鳴沢了についても、正直少しそんな感じを描いていましたが、実際鳴沢了シリーズを読んでみると、すごく人間臭い。
精神的にも決して強くない。
女性に対しても、意外とうぶだったりして。
しかし意外ともてるんですが。
こういうところが意外と面白いんですね。
ただ少し問題と言うか、ここはひどいというのが偶然が重なりすぎるということ。
今回はどうかと言うと、まずDV被害にあったということでNPO事務所に行くんですが、そこで働いていた女性が、アメリカ時代のルームメイトであった友人の妹。
これすごい確率だよな。
更に、そのアメリカ時代の友人がニューヨークの警察官になっており日本にやってくる。
それがおじいさんのお墓参りと言いつつ、実は犯罪者(中国マフィア)を追いかけてきた。
それが、なんと詐欺グループと関係があるという偶然。
これだけでもどんな奇跡が起こってんだって感じだが。
あと、密告者の会社に義理の弟が入社してくるって。
これどんな偶然なんだって。
たまにあるんだよな、こういう奇跡的な偶然が多発する小説が。
堂場瞬一氏の小説は、少々多いですね。
なんかリアリティに欠ける点でもある。
小説はこの偶然があるから面白いという意見も当然あるだろうが、偶然が3つ以上重なるとそれはもうパロディだ。
そこをもう少し考えてほしいところだよな。
って、いまから言っても仕方ないんですが。もう結構古い小説なので。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:5
この人の小説は意外と読みやすい。
なんだろうか、たんたんと表現しているからかな。
テンポも意外と速いんだよな。
登場人物も少ない。
これは少ない登場人物が濃い関係を持っているということかもしれないが。
◆意外度
意外度:3
意外性はある。
それが先ほど言った、偶然が重なりすぎるという点。
最初から、まさかなって感じで進むんで、ある程度の予想はできてしまう。
もう少しひねった意外性が欲しいところだが。
◆夢中度
夢中度:4
なんやかんやといいつつ、どうなるのかはすごく気になる。
気持ち的には、こいつらどうなるんだ!って感じでどんどん読み進んでいってしまう。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:2
今回はエンディングがいまいちだったな。
詐欺事件の解決となるとこんな感じになるのか。
もっと気持ちよく終わってくれたらよかったんだが。
鳴沢了自体すっきりしていないことがありありだったな。
恋の行方も結局本編では書かれていなかった。
刑事ものなので、この辺は別に期待はしていないが、ちょっとすっきりはしないわな。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。