大藪春彦が作り上げた伊達邦彦と言う怪物。
読んでいてほんとに、スッキリすると言うか、まるでゴルゴ13のような。
大藪春彦と言えば、「汚れた英雄」って言うのがあって、単行本で4冊にもなる大作ですが、ほんとに面白かった。
ここで紹介したいぐらいなんですが、まだ別の機会にします。
さて、伊達邦彦シリーズで有名なのは、「野獣死すべし」でしょうね。
松田優作主演で映画化されてましたが、
説明 注!ネタバレ
概要はというと。
イギリスで優雅に暮らしている伊達邦彦。
まるで絵に描いたようなイギリスの金持ちみたいな。
少しの整形をして、東洋の彫刻のような顔になり、体は鍛え抜かれた鋼のように。
仕事は一応海外特派員。
しかし裏の顔はと言うと、イギリスの諜報員。
日本で犯した犯罪をイギリスの諜報局に暴かれ、その腕を見込まれてスパイにされたという。
で、突然命じられたのは、モナコ王室の王子・王女が誘拐されたという事件の解決。
犯人の目星は付いてるが、なかなかのくせ者。
何と言っても世界有数お金持ち。
しかも、相当あくどいことで稼いだ、一筋縄ではいかないような相手。
伊達邦彦、運までも味方にして、難関を乗り越えていく。
ハリウッドのアクション映画を見ているような感じだが、冷酷さがある。
これは、かなりスッキリとして楽しめますね。
頭を真っ白にして読むのにはうってつけです。
読んだ時の感想
大藪春彦氏の小説は凄いわ。
これほんとにゴルゴ13みたいな、凄い情報量です。
描写が細かい。
ヨーロッパの各地の道路や、公園、建物や景色。
もう本当に詳しすぎて、ネットで調べたりしながら読みました。
ニースとかモナコとか、もう地理が全く分かりませんからね。
この辺かと、ネットで地図を見ながら読みました。
あと葉巻とか、車についても、ネットで調べながら読むと結構楽しいですね。
葉巻も、ラ・コロナ・コロナとか、結構出てきます。
昔の小説なので、葉巻を吸うシーンとか多いです。
あと、伊達邦彦が優雅にチップを渡すシーンとか、すごくかっこいいなって思いますね。
しかし、ドアに仕掛けをするとか、タバコの青酸カリとか、武器の用意が全て役に立つという点で、さすがにできすぎの感はありますが。
これもスーパーヒーローたるものでしょうかね。
今のご時世かなりの批判を浴びそうですが、伊達邦彦の女たらしぶりは、もう漫画ですね。
さすが、男性読者限定のハードボイルドだわ。
言ってもこんな事マネする奴はおらんとは思うけど。
しかし、日本で犯罪を犯していたころと異なりスケールでかいわ。
モナコのカジノとか、勝つ金額が半端ない。
セレブが遊ぶ金額と言うのはこんな感じなのかもしれませんが。
しかし古すぎてよくわからんとこあります。
さて、伊達邦彦シリーズをまた読みたくなってきましたね。
どうしたものか。
大藪春彦氏の小説は、学生時代からなん十冊と読んできました。
本だなの2段くらいは埋めるぐらいに読んだ気がしますが。
ひょっとして、この諜報局破壊班員も学生時代に読んでいるかもしれませんが。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:3
読みやすいかと言うと、専門用語や、知らない土地の地名などがいっぱい出てわかりづらい。
ただ、テンポも速いため、その点では読みやすいかな。
わからないところは読み飛ばす感じでもいいかと。
戦う時のシーンは、結構真剣に読んだ方が楽しめます。
今、どういう状況化を理解しながらだと、結構楽しめます。
◆意外度
意外度:1
意外度はほとんどなし。
あるとすれば、攻撃されるときかな。
大丈夫かなと思いつつ、襲われだすと、何でばれたんやって感じがしますが。
主人公もそうであれば、敵もかなりのやり手ということで、かなりの情報量を持っているということですが。
◆夢中度
夢中度:4
かなり楽しめる小説ですからね。
ついつい夢中になれます。
読みだすとあっという間に読んでしまう。
内容的には、もっと長くてもいいとは思うんだけど、意外とページ数は少ない。
最後の方は意外とテンポが速くて、おいおい救出はって感じになりましたが、見事に納めましたねって感じ。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:5
大藪春彦シリーズとしては、今回は意外とすっきりしましたね。
主人公が殺されたりと、エンドは意外と残念なケースが多いのですが。
今回はなんとかすっきりしました。
そもそも伊達邦彦は日本で犯罪を犯して、失敗して世界に出ましたからね。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。