今回は、「告白」。
湊かなえ氏の作品です。
意外とこの人の作品は、読んでるかな。
「ユートピア」とか、「豆の上で眠る」など。
どちらかというと、あまりインパクトはないけど、いい感じの作品かなって。
ジワーと来るような感覚。
ジワーって、なんやねんって言われそうだけど、まぁ、関西人特有の言い回しと言うことで。
今回の「告白」は、かすかに記憶がある。
松たか子が出演した映画かな。
コマーシャルで見たような。
で、ふと目に留まり、帯を見て、面白そうって感じで買いました。
読んでみると、正直極端な人物像に少々驚かされる。
ただ面白くて、あっという間に読んでしまったわ。
こんなに早く読むともったいないなってなりますね。
説明 注!ネタバレ
概要はと言うと。
ある中学校の終業式のクラスの中で始まります。
退職する先生の言葉。
じわりじわりと来る重ぐるしい雰囲気。
先生はシングルマザー。
その子供である愛美ちゃんが、学校のプールで亡くなった。
当初は事故として見られていたが、彼女は生徒に殺されたんだと気づく。
それも自分のクラスにいる生徒に。
森口先生は、生徒達に状況やらを説明していきます。
もちろん犯人である生徒もその中にいます。
一人はどんどん顔色が悪くなり、まあ一人は平静を装ってる。
そして話の最後に復讐の内容を告白する。
それぞれの視点で物語は語られていく。
犯人である生徒。
その母親。
時間がいろんな視点で明らかになっていく。
森口先生も警察ではない。
どこまで真実に近づいているのか。
きちんと復讐はできるのか?
読んだ時の感想
湊かなえ氏の小説は、なにか引き込まれるものがある。
こう、なんかわからないけど。
登場人物がまぁなんて言うか、リアルに変な奴とか。
普通に考えるといないとは思うんだけど、実は内面でこう言うやつはいるのか?
外から見たらわからないが、近くにいてるのかなって思わせる恐怖。
少年Bは、すごくこの物語の中ではクズとして描かれているが、優しいとみんなから言われてるやつっているよね。
取り柄は特にないが、優しくて良い子。
しかしその裏ではコンプレックスの塊で、小心者。
周りの目ばかり気にする。
母親がそもそもそうで、見かけばかり気にする。
かわいそうなんだけど同情もできない。
頑張らない子。
先生からもそう思われてる。
中学生という多感な年頃。
中途半端な正義感で次のターゲットを探し、いじめる。
それをたくみに利用する大人。
未熟なのはわかるが、考えが浅い。
少年Aは、典型的にサイコパスか。
複雑な家庭環境。
親の愛情不足か。
頭ばかりよく、スマートではない。
スマート。賢さ。
犯罪を犯した後のリスクを理解できない馬鹿。
森口先生もそれは理解していて、馬鹿と蔑んでる。
中学生だろってのは今回はない。
中学生でもわかるレベルってことで、最後まで容赦なかった。
最後の少年Aの顔が見たかった。
自分の間抜けさ。
頭の悪いくせにプライドだけ高いと少年Bを馬鹿にしていたが、中途半端な知能だけで周りを馬鹿にする馬鹿さ。
しかさ、森口先生がやはり一番人間的でスマートだった。
映画版では、松たか子が演じてるが、ぴったりだなって思う。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:5
すごく読みやすくて、2日で読んでしまった。
もちろん読みやすいというだけでなく、引き込まれる感じがすごいんですが。
最初の森口先生の話の中で出てくる生徒の名前が、後半の話につながる。
その為、何度か前に戻って読み返したりしましたが。
◆意外度
意外度:2
意外度はなく、最初のところで犯人がわかる。
手口もほぼ同じ。
若干の食い違いと言うか、勘違いと言うのが途中に出てくる。
後半のどんでん返しも意外と小さい。
◆夢中度
夢中度:5
夢中になって読んでしまった。
2日と言うのは、やはり夢中で読んだ証拠かな。
しかし金曜日の夜に読み始めて、土曜日の夜に読み終わったので、土曜日まるまる使えたので、時間的にはけっこうあったのかな。
と言っても、土曜日も全て読めたわけではない。
しかし面白かったのは確かだ。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:4
結構すっきりかな。
森口先生!
すごい!
って感じかな。
途中、少年Aに対してイメージが覆りそうになったんだけど。。。
しかしきっちりと落とし前を付けてくれたから、後味すっきり!
まぁしいて言えば、最後の反応をもっと見たかったかな。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。