堂場瞬一氏の捜査一課・澤村慶司シリーズ。
前作の「逸脱」が結構面白くて、このシリーズを読んでみることにしました。
全3巻しかないので、ちょっと残念なんですが。
しかし澤村慶司は、鳴沢了刑事に結構似てます。
まぁトレードマークがジーパンって言うところと、鳴沢了みたいにあまり固すぎないってところでしょうかね。
最近は文庫本は、アマゾンで中古を買っています。
価格1円で送料280円とかで、もう新刊買うよりははるかに安い。
一度読むだけなので、もう中古で十分って感じです。
電子書籍版もあるんですが、なんかやはり小説をスマフォなんかで読むのはね。
説明 注!ネタバレ
概要はというと、まず前半は男と女の目線で始まります。
女の目線っていうのはないか。
もうある意味主人公となっている日向という男性の目線ですね。
東北にある田舎にある実家に、用があり帰ってきたが、雪の為にすぐに立つことができず、一泊します。
次の日、そそくさと帰ろうとするんですが、ふと立ち寄った駅で、高校時代の同級生の女性に会います。
めんどくさいことを避けていたにもかかわらず、どうしてかその女性のことが気になり、声をかけます。
まぁ、そこからどういうわけか一緒に長浦市まで帰ることに。
この二人はどういうわけか、ともに訳ありで。
こんな偶然あるのかと言うのが読んだ感想ですが、これは堂場瞬一氏独特ですからね。
偶然は2つ重なるのは奇跡。
3つ重なるのは、もう何かそこに意図があると。
小説では結構その辺が気になるんですよね、個人的には。
読んだ時の感想
確かに面白い。
しかしなんか言いたいことが結構ある。
その1.田舎を馬鹿にしすぎ
日向目線というよりは、この小説に出てくる全ての人が、田舎を馬鹿にしすぎ。
これは堂場瞬一氏の考えなんだろうな。
最近は都会での窮屈な暮らしが、逆にみじめと言う考えも出てきている。
あのラッシュアワーや、無関心。
ゆとりのない生活。
ウサギ小屋を重ねたような建売住宅。
それよりは少し田舎で、のんびりと生活するというスローライフが見直されている中では、少し時代錯誤的な感じが非常にする。
結局、都会に出た今回の日向毅郎(ひゅうがたけお)と井沢真菜(いざわまな)。
2人は田舎が嫌いで逃げ出したが、どちらも人生を大失敗して負け組になっている。
同級生の中でもとびっきりの負け組である。
その2.日向毅郎は頭がいいか?悪いだろ。
人を殺して、海外に逃げようかと言う時に、いくら同級生だからと言って、車に乗せて帰ろうとするか?
自分でも言っているように、面倒なことを極力排除するというなら、絶対しない事だろ。
自分でも言っているように、途中で降ろそうかと思ってたんだけど、バックの中の200万円とジャンバーの裾についていた血のことで、結局一緒に逃げる羽目に。
しかし200万程度のお金だと、両親が自分の為に今まで蓄えてきてくれたものであるとか、ジャンバーの血は、後輩に貸した時にそいつがつけたものだとか、いろいろ言い訳もあるだろ。
それに人を殺しておいて、意外とあっさりと日向までたどり着く短絡性。
ならもっと早く逃げる準備をしない取って感じだが。
それにいくら受け子が目を付けられていても、解散していればなかなか警察も動きづらいと思うんだが。
なぜ、最悪の方法をすぐに実行するのか。
よくわからんね。
面白かったが、今までの中では一番内容が薄かったような気がする。
今回は澤村はあまり刑事らしい仕事はしてなかったな。
捜査二課の悪徳刑事を追いかけて、問い詰めるところは、さすがに鋭い勘の持ち主と言う感じがしたが。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:4
もう慣れましたね。
かなり読みやすいです。
◆意外度
意外度:1
今回は最初から、すべて手口を公開しているので、意外度はなし。
なんかどんでん返しがあるのかと期待してたけど、一切なし。
すーっと話が続いていく。
後半もなんか予想通り。
意外性はほんとなかったな。
◆夢中度
夢中度:4
ただ、まぁエンターテインメントとしては、面白かったかな。
最初の期待感は見事に裏切られたけど。
本当は、警察には悪いけど、うまく逃げ切ってくれたら楽しかったのにって。
結構真剣に読んだな。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:3
気になった点を2点ほど書いたけど、やはりその辺が気になるね。
都会は楽しくて働き甲斐、生き甲斐がある。
田舎は閉鎖的でそんなものはない。っていう決めつけが、読んでいくと全くの逆と言うのがよくわかる。
もちろん都会に出て生き甲斐をみつけ成功する人もいるが、大半は失敗して、結局大勢の人の中に埋もれて、田舎にいるのと何が違うんだっていう人が多いと思うな。
堂場瞬一 捜査一課 澤村慶司シリーズ
澤村慶司シリーズは以下となっています。
- 逸脱(読破)
- 歪(ひずみ)(今回)
- 執着(未読)
堂場瞬一 高城賢吾刑事シリーズ
高城賢吾シリーズは以下となっています。
- 蝕罪(読破)
- 相剋(読破)
- 邂逅(読破)
- 漂泊(未読)
- 裂壊(未読)
- 波紋(未読)
- 遮断(未読)
- 牽制(未読)
- 闇夜(未読)
- 献心(未読)
堂場瞬一 鳴沢了刑事シリーズ
シリーズは以下のようになっています。
- 雪虫(読破)
- 破弾(読破)
- 熱欲(読破)
- 孤狼(読破)
- 帰郷(読破)
- 讐雨(読破)
- 血烙(読破)
- 被匿(読破)
- 疑装(読破)
- 久遠(上・下)(読破)
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。