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【サラリーマン書評】「讐雨」堂場瞬一~犯人は誰だ!孤狼に続く傑作はこれだ!

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堂場瞬一氏の鳴沢了刑事シリーズ

本当に秀作が多いというのが、感想です。

今回の「讐雨」(しゅうう)も、心の葛藤というか、いろんな人の思いや、葛藤がうまく描かれています。

正直社会の問題点も、各所で書かれており、なんか本当に日本って大丈夫かなって思うところがあり、何とかならんのかと考えもします。

鳴沢了シリーズを読んでると、一作ごとに成長しているのが見て取れます。

うまく構成立てされているなって感心しますね。

これは順番に読んでいくと、背景がよくわかります。

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説明 注!ネタバレ

概要はというと、小学生女児連続殺人事件の犯人である間島。

その事件の裏取りをして東多摩署に戻る途中、道路わきに止まっていた車が突如爆発し、鳴沢了は怪我を負う。

署に何とか戻るが、そこで見たものは、その爆発を予告する手紙が。

その手紙には、爆破と同時に、間島を釈放しないと、更なる爆破をするとの予告が。

 

間島の身辺を再度洗いなおすと同時に、ほとんど手がかりがない爆破および脅迫状の差出人を探そうとする。

なかなか手がかりがない状態での警察の捜査。

時に出てくる、事件の内容は、読んでいても吐き気がする。

宮崎勤の事件を思い起こさせるような間島の犯行。

誰もがこんな奴をなぜ、法律は守ろうとするのか。

読んでいても一体どっちが正しいのか。

深く考えさせられる。 

 

読んだ時の感想

正直、この小説には本当多くの課題が突き付けられている。

それには明確な答えがない。

答えを出そうにも、立場によりまったく変わってくる。

鳴沢了も、刑事としての倫理観と、一人の人間。

普通の人間としての感情の間でひどく揺れ動いている。

 

犯人である間島の両親は、事件が発覚した後、自分が育った田舎に引っ越します。

しかしそこで待っているのは、ひどい事件を起こした犯人の親への攻撃。

親は関係ないという欧米とは異なり、なにか不祥事を起こした時に親が出てきて謝罪する日本。

 

確かにそのように育てたのは親の責任と言うのがあるが、よくわからないが根本的に何か欠陥を持って生まれてくる子供もいるだろう。

もちろんここでいう欠陥と言うのは、精神構造的なもので、人を傷つけたいとか、そんな普通なら持っていないようなそういう事を持って生まれてきた人ということ。

 

そういうのは、いくら普通に育てたつもりでも、自分の欲求を抑えきれず犯罪を犯してしまうこともあるだろう。

反面、虐待などで子供の精神を傷つける親も当然いるが、それは親の責任である。

 

マスコミやSNSなどのネット社会についても、かなり突っ込んで描写している。

例えば事件現場などで、笑いながらスマフォで写真を撮っているやじうまとか、ネットで興味本位にくだらないことを書きこんでいるネット住民。

こいつらに対しては、くだらない奴らと、言い切っている。

 

悲しい事件などをおもしろおかしくネット上に書き込む奴らはそりゃ多いだろう。

好き好んで読みにいかないが、たまに見えることがあるが、そういうのは本当に何考えてるのかって思うよな。

 

精神鑑定も問題として挙げている。

ひどい犯罪になればなるほど、この精神鑑定が実施され、責任能力の有無が判断される。

世の中に出て生活している以上、責任能力がない人間っているのだろうか。

子供はいざ知らず、もう一定年齢過ぎると責任は必ずもって生きてると考えるべきだろう。

自分の行動に責任が取れないなら、正直世の中で生活することはできないだろうと。

 

こういうと差別とか言われるが、そういう人たちにより危害を加えられる人にとってはたまったもんじゃない。

 

責任能力がないと判断されれば、そういう人たちが収容される施設に入るんだろうが、問題ない状態となれば、世の中に出てくるんだろう。

それは被害者家族にとってはもう悔しいとかいうレベルではなく、身を引き裂かれるような思いだろう。

法律は、被害者のためではなく、どちらかというと加害者の人権を重く見ているように思えるのはどうしてだろう。

刑務所も最近は人権とかを意識して、かなり緩くなっているようですよね。

 

刑務所内では本も読めたり、新聞も読めたり。

正月にはおもちも食べれたりと。

 

おいおい、だから生活が苦しくなると、犯罪を犯して刑務所に行きたがる人が増えるんだろ。

そもそも刑務所は、もう二度と行きたくないって思うところでないといけないはずだろ。

なんでも人権人権っていうのは、結局その他の善良な市民を傷つけることになるのではと思う。

 

鳴沢了は、間島に対して、嫌悪感をもちつつ、刑事として接する努力をしている。

この物語では、感情移入が難しい。

特に最後の方は、一体どちらが正しく、自分はどっち側につくのかが本当にわからなくなる。

 

しかし鳴沢了刑事は、シリーズを重ねるごとにいい刑事になっていくなって。

味方と言うか、応援する人も増えて、最後にはすごくみんなに期待を抱かせる、ザ刑事っていうふうに成長している。

 

堂場瞬一氏は、ワンピース尾田栄一郎氏のように、なんかきちんとストーリー立てて、シリーズごとに少しづつ成長させてるよな。

 

また次の「血烙」を読みたくなってしまった。

 

 

総評

◆読みやすさ

読みやすさ:4

慣れたのかな。

堂場瞬一氏の書き方に慣れてしまい、読みやすい。

展開も早いし、鳴沢了刑事のしゃべり方も結構気に入ってきた。

 

◆意外度

意外度:4

犯人を突き詰めるが、犯人は最後のほうでやっと出てくる。

意外性は抜群。

誰も予想できないのではないだろうか。

しかし、その後来るなんというか、感情と言うか、本当に胸が締め付けられる。

 

◆夢中度

夢中度:4

夢中度で言うと、中盤はなかなか進展しないで、少しイライラする。

その代わり後半は一気に進み、次はどうなるっていう焦る思いで、ついつい夢中になる。

 

◆読んだ後のすっきり度

読んだ後のすっきり度:4

決してハッピーエンドではない。

事件が解決したから良かったというのはない。

ただ、間島の状況をみたら少しすっとする。

誰もこんなことを望んでいたのか。

それはよくわからないが、思っていてもしないのが普通だからね。

物語上、少しすっきりした。

 

堂場瞬一 鳴沢了刑事シリーズ

シリーズは以下のようになっています。

  1. 雪虫(読破)
  2. 破弾(読破)
  3. 熱欲(読破)
  4. 孤狼(読破)
  5. 帰郷(読破)
  6. 讐雨(今回)
  7. 血烙
  8. 被匿
  9. 擬装
  10. 久遠(上・下)

 

 

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読書について

本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。

いい意味でも、悪い意味でも。

時に深く考えさせられることもあります。

人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。

最近世間では本離れが進んでいると言われています。

本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。

ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。

もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。

駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。

もっとみなさん本を読みましょう。

そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。

ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。