今回は、「月のない夜に」。
岸田るり子氏の作品です。
これは何というか、みっけ物と言いますか。
前回読んだ、「崩れる脳を抱きしめて」に続き、当たりをひいちゃいましたね。
すっごくおもいしろいです。
今回は、子供とぶらりと入った近所の本屋で、なんかいい本ないかなって見ていると、結構強烈な帯に惹かれました。
本を選ぶ時には、けっこうこの帯を参考にします。
他に何もインプットがないですからね。
仕方ないんですよ。
本屋さん大賞は結構参考になってたんですが、前回失敗しましたからね。
でも、今度は大成功!
説明 注!ネタバレ
概要はと言うと。
双子の姉妹である月光と冬花。
月光は、東京で生活していたある日、京都にいる冬花が殺人の罪で捕まったという連絡を受けます。
被害者は、川井喜代。
冬花の高校時代の同級生。
被害者の名前を聞いた月光は、驚く。
まさか、あの川井喜代とは。
あの悪魔のような女。
冬花には、彼女には近づいたら駄目だと忠告し、それを守ってきたはずだと思っていたのだが。
慌てて京都に戻る月光。
そこから物語は、冬花と喜代がどのように関係を深めていったのか。
なぜ、冬花は事件に巻き込まれるようになったのか。
冬花の見方をする杉田と言う男性はいったい何者か。
もう目まぐるしくストーリーが展開する。
夢中で読むこと間違いなし。
人の悪意と知性が融合すると、どれだけ恐ろしいことになるのか。
京都弁がすごく心地いいような、悪いような。
京都独特の裏の顔をあえて描いたのか。
しかし、それがまたいい味を出している。
読んだ時の感想
結構面白くて、夢中になって読んでしまう。
川井喜代の悪魔的な思考と、天使のような振る舞い。
正直こんな女性に騙される人っているのかと思ってしまうが、実際に起こっている事件を考えると、信じる人って多いんだろうなって。
うまいことを言う人を何かあるのかと疑うことは、普通の人として当然の気持ちだと思うが、すぐに信じてしまう愚かさがなんとも見ていてはがゆい。
自分のことはじぶんで決めるというごく当たり前のことができないというのは、本t脳にある意味罪だなって。
よく言いくるめられると言うが、自分のことを他人が決めること自体に拒否感を持たないと。
拒否感と言うか、言われたから決めるというのではなく、意見は聞くが、その後じっくりと自分で考えるというのが必要だ。
それがこの小説に出てくる人物にはないような気がする。
喜代に言われて、お店を出してしまう高田ミカと言う女性がいるが、喜代のことばをなぜそう簡単に信じるのかとびっくりしてしまう。
自分の感覚としては、月光のような疑り深い人間の方が、よっぽど信じられるね。
犯人は当然登場人物の中にいるが、しかし小説だから仕方ないが、方法がいただけない。
かなり高い知能を持つ犯人がとる方法とは正直思えない。
レンガで殴る。
置物で殴る。
いやいやそんなリスクある方法使うか?って。
めちゃくちゃすごい天才なのに。。。
またこの小説に出てくる警察が、あまりにも無能すぎる。
結局月光の息子が大活躍してる。
それぐらい警察動けよ!って思うけどね。
今回の小説を読んで、世の中に起きてる不可思議な事件の真相を少し垣間見たような気がする。
例えば、尼崎の角田美代子の事件。
あれなんてのも、なんでもっと早く拒否をしなかったんだって、本当に不思議に思ったが、人に少し優しくされたり、その人が言ったことを鵜呑みにするような人は、簡単に騙されるんだろうなって。
正直怖くなった。
自分ならどうするだろうか?
まず、その人が言っていることを鵜呑みにはしない。
人の悪口や、噂話、見たで!っていう話は、話半分に聞かないと。
あと、必要以上に他人に自分のことを話さない。
家族の事とか。
怖いやんって。
あと、決定権は常に自分にする。
人に言われて何かするとか、決めるというのは、もう怖すぎる。
だから、保険だって、保険外交員が勧めるものは、まずその場では絶対は要らないし、必要な時に声かけるから、それ以外声かけてくるな!って言ってしまうな。
ディーラーでもそう。
車そろそろ買い換えたいなって思ってても、ディーラーから言ってきたら、まだいい!っていう。
人に自分のことを決められたくない。
ただ、自分で考えるときには、参考にはするが。
だから、この本に出てくる人が、川井喜代に決められる人たちっていうのが、本当に信じられへん。
あと、自分のものを他人に利用されるっていうのも、正直すごく嫌だ。
自分の家をパーティーに使われるって、考えただけでもイラっとする。
ふざけんな!って。
利用料とか払うならわかるが、ただで貸すというのはもうほんとありえない。
いくら友達でもだ。
それぐらいの割切りがないと、本当に騙されるぞって。
そもそも友達とお金については、貸し借りは絶対にしない。
お金でもめたくないからな。
自分も友達にお金を借りたのは、ほんとうに20歳ぐらいの時、財布を落として手元に現金がなかったときに1回だけ借りた。
ただそれだけ。
それ以外はまったくない。
その辺が、この本を読んで、こんな人もいるのかなって、少し考えさせられましたね。
結構、この冬花とか、リカをみていると、こんな人もいるんだなって。
だから、世の中、詐欺とか、あの尼崎事件のようなことが起こるんだなって、正直思った。
自分が思うに、こういう人を世の中では被害者として見る傾向にあるが、それは間違いで、加害者だと思う。
要するに悪の手助けをする加害者一味だ。
ほんとの悪にエネルギーを与えることは、共犯と一緒だ。
いかにも被害者のように書くが、ちがう。
加害者の一部だってこと。
悪が力を持てば、その被害は一般の人に及ぶ。
詐欺でも同様で、オレオレ詐欺とかに引っかかる人は、被害者のように報道するが、引っかかることにより、悪がより力を持つと考えれば、加害者の一味とみてもいい。
申し訳ないが、世間は騙される人をもっと非難すべきだと思うが。違うのかな。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:4
文章読みやすい。
話が前後するが、比較的すんなりと理解できる。
登場人物が意外と少ないのも、読みやすい。
◆意外度
意外度:5
これ、意外度はすごいね。
前作の「崩れる脳を抱きしめて」も意外度すごかったけど、今回もすごかった。
◆夢中度
夢中度:4
後半はもうすごく夢中になって読んだわ。
あっという間かな。
後半はもうどうなってるのか知りたくて知りたくて。
少しでも時間に隙間があれば読みました。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:4
正直最後はどうなったのか。
捕まったのかどうなのか。
警察ってなんなんって。
監視カメラの映像とか、指紋とか、そんな明確な証拠がないと犯人捕まえられないのかなって。
それが残念だな。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。