今回は、「闇の底」。
薬丸岳氏の作品です。
最近、結構薬丸氏の本を読み漁っています。
面白いということではなく、非常に考えさせられるからです。
読んでいて、正直気持ち悪くなることが多いのは事実ですが。
この薬丸氏の考えと、根本的に似たところがあるため、小説からにじみ出てくる犯罪者への怒り、それを報道するマスコミの姿勢。
日本の司法制度について、非常に憤りを感じます。
説明 注!ネタバレ
少年だった頃、ふとした不注意で妹を亡くした長瀬刑事。
刑事になってからも、心の葛藤は続いている。
そんななか、幼女殺人事件が発生する。
時を同じくして発生した、幼女への犯罪を犯した男の殺人事件も。
仕業は、自分をサンソン(処刑執行人)と称する男。
幼児への犯罪が起こるたびに、見せしめとして前歴者を一人づつ殺していくと。
警察の威信をかけて、サンソンを追う一方、世間はサンソンを援護する声も。
最後は、おーい!っていう意外な結末に。
読んだ時の感想
これはほんとうに深い課題だなって。
深いというか、自分の感覚だと、被害者の方に気持ちが向く。
だから、どうしても日本の刑事罰の軽さに、ほんとうに腹が立つって。
幼児性向者は、その欲望を抑えることが難しく、再犯率も高いとのことだ。
その反面、自分の性向を隠して大人になっている人も多く、地位を得てからその欲望を満たす行動に出る場合もあるとのこと。
もう読んでいるだけで吐き気がするぐらい、この手の犯罪者には嫌悪しかない。
正直なところ、もう治らないのなら、一生世の中に出れないようにすべきだと思います。
犯罪によって、それがもう分かったんであれば、なぜ世の中に出すのか?
逆にそれがわからない。
もし、身内に幼児性向がいたら?
同じことが言えるのか?
もちろん言える。
ただ単に怖いもん。
正直、この本を読んでいて、もっと子供に対して日本も外国並みに厳しくしないといけなくなってきてるのかと思ってしまいます。
外国人が日本にきて、まず驚くのは、小さな子供が1人で通学したり、電車に乗っていたりする光景だそうです。
外国では、ありえない事だとか。
子供を一人にさせた場合、親が罰せられるようです。
今後、外国人労働者が多く日本に来た場合、正直本当に怖いです。
外国では、子供が1人でいると、すぐに危険に巻き込まれるということは、幼児に対する見方が、あきらかに日本とは違うということになります。
子供は大人が見守るべきと言う日本人として当たり前の感覚が、海外では餌食に見えるって。
もう本当に怖いことです。
清水刑事が長瀬刑事に「俺たちはどうやったら本当に子供を守れるんだろうか」って問うています。
99%の人が子供を守る側に立っているのに、残り1%の異常者が犯罪を犯す。
司法はもっと厳罰化するべきだと思います。
そういう性癖の人間は再発性が高く、欲望を抑えきれないといいます。
もう、即死刑でもいいと思うんですが。
一度事件が起こってしまえば、被害は尋常じゃないですよね。
幼い子供が被害者になるんだから。
私は、もう本当に厳罰化。世に出しては駄目だと思います。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:3
どっちの意見か。
微妙。
確かに殺人は良くないが、日本の刑法がおかしいって。
そういう意味では読みづらいなって。
◆意外度
意外度:4
意外度はないかなって思っていたら、最後に最大の意外度が。
最初は、えー、もうバレバレやんっていう感じがしましたが。
あれ、どこかで読み間違えた?って思いましたが、思い浮かべると、確かに。。。
って。
◆夢中度
夢中度:5
今回も夢中になって、この重たいテーマを読んでしまいました。
薬丸氏の小説は、本当に考えさせられるテーマが多いですね。
こういうことをもっと真剣にメディアで取り上げて議論してもらいたいって思いますね。
被害者は、一般的な庶民なので、政治家とか司法はどこまで考えてくれるのか。
本当に心配です。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:3
すっきりなんてない。
なおらない性向の人間が、次から次へと世に放たれていく。
これほど怖いことはない。
百害あって一利なし。
なんでって感じしかしない。
これは子供を持つ親なら誰でもそう思うはず。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。