ニュースでたまに見る横領する犯罪者。
横領自体は、昔からある犯罪なんですが、結構その理由としてよく上げられるのが、FXでの損失です。
FX取引で多額の借金を抱えていたとか、その損失を埋め合わせるためにとか。
そういう報道もあってか、FXをもうギャンブルと言う見方をしている人も多いようです。
金融庁も、現在最大レバレッジ25倍までとなっていますが、更に規制を強くするのか検討するといった報道も2018年には出ていましたね。
しかし、これらは全て無知と言うか、正しい投資を知らない人が、無知なために発生した損失のためなんですよね。
長い間FXに携わってきた私としては、少しでもFXを知ってもらいたいと思います。
FX取引とは
FX(Foreign Exchange)。
日本語で言うと、外国為替証拠金取引。
証拠金をFX取引業者に預入し、主に差金決済による通貨の売買を行なう取引のことです。
日本では、1998年から取引できるようになりました。
外国為替及び外国貿易法が改正されたことがきっかけで、ひまわり証券(当時、ダイワフューチャーズ)が取扱いを開始しました。
その後、2000年にみんなのFX運営会社(当時、トレイダーズ証券)が、国内で初めて個人投資家向けにサービスを開始しました。
この個人向けのサービスが開始されると、一気に市場に広まっていきました。
レバレッジが当時は100倍とかかなり高く、ドル1万ドルをわずか1万円程度の保証金で買えました。
1万円で1万ドルを購入し、為替が上昇し、110円が111円になると、それだけ1万円程度の利益が出ると。
FXのもう一つの特徴が、株の信用取引と同様に、売りポジションを持てるということです。
通常持っていない場合、買うことしかできないですよね。
しかし、売りポジションを持てるということは、将来そのポジションを買うことを前提に売るということです。
これは為替が下がると思った時に使います。
110円で1万ドルで売りポジションを持ったとすると、109円になった時点で反対の買い決算をすることにより、1万円の利益が出るということです。
スキャルピングという取引手法により、1日で数万円の利益をでる投資家も現れ、それがメディアや媒体で紹介されると、さらに加熱化されていきました。
それと同時に、為替の金利差も注目されるようになりました。
そこで注目されたのが、オーストラリアドルやニュージーランド、南アフリカ、トルコでした。
スワップポイントと呼ばれ、1日ごとに入ってきます。
レバレッジを効かせているの、スワップポイントも購入した価格に対するスワップとなります。
レバレッジ規制
FXが急速に浸透していく上で問題となったのが、やはりこのレバレッジですね。
これは少ない投資額で大きな取引ができるということで、手軽に手が出せる反面、反対方向に動くと、損失にも当然レバレッジが効きます。
先程の例で言うと。
1万円で1万ドルを購入します。
その時の為替レートが110円だとします。
(レバレッジ100倍とすると、必要な最低保証金額は、11,000円となりますが、わかりやすく1万円としています。)
このドルが111円になり、そのタイミングで売却すれば、1万円の利益を得ることができます。
要するに、1万円の投資資金で、1円為替が動けば、それだけで1万円の利益を得られると言うことです。
1円でなく、0.1円であれば、1,000円の利益ということです。
FXは都度手数料や税金を支払うことがないため、リアルに収益を得られます。
(手数料としては、スプレッドと言って、買値と売値に差を持たせています。)
これが反対に、1円下げたらどうでしょうか。
まぁ、ご想像の通り、1円下がったら、1万円の損となります。
FXには、ロスカットというルールがあり、保証金率が下がれば自動的に売却されます。
例えば保証金率50%だとすると、0.5円下がった時点で、自動的に売却され、5,000円の損失が確定し、資産が5,000円となります。
このレバレッジというのは、非常にリスクの高い仕組みと言えるでしょうね。
これを問題とした金融庁は、2010年に、最初のレバレッジ規制が敷かれました。
この時の規制としては、当時100倍とか、200倍などのレバレッジも可能でしたが、投資家を保護する目的として、最大50倍としました。
さらに、2011年には、現行の最大25倍にまで規制が強化されました。
投資家にとって、少し残念な規制となりましたが、反面、高レバレッジを売りにした悪質なFX業者が一掃されたことは、嬉しいことです。
そもそもあとで書きますが、レバレッジは低いに越したことはなく、レバレッジ25倍でも、まだ少し高いかもしれないと思っています。
レバレッジを低くすると見えてくるFXの姿
ニュースで見えるFXはというと。
やはりギャンブルっぽいという事ですよね。
為替は短いスパンで見ると、上がったり下がったりします。
チャート見ればわかるように、1分足や15分足で見ると、上がったり下がったりを繰り返しながら、当日のいろんな要素をもとに動いていきます。
スキャルピングという取引では、上がると考えれば、買い、上がった段階ですぐに売却する。
下がると考えれば、売りから入り、下がった時点で買い戻す。
レバレッジが高すぎると、このわずかな上下の動きでもロスカットされる可能性が出てきます。
資産が一気に半分になることがあるということです。
当然、うまく行けば、少ない資産でどんどん利益を積み上げていくことができるということですが。
しかし、これ一時期チャレンジしてみましたが、本当に難しいですよ。
一瞬簡単かなって思うかもしれませんが、チャートというのは本当にランダムです。
スプレッドがあるので、買った瞬間は、ある程度の損失が出ています。
買い値が110.1円/ドルで、売値が110.0円ってな感じで。
買って、すぐ売ると1000円の損となります。
従って、買っても、0.1円/ドル分上がらないと利益が出ないということになります。
短いチャートだと、この0.1円/ドルがなかなか厳しいのです。
この短い取引では、損切りも非常に重要となります。
想いに反した方向に動けば、あきらめて決算することが必要となります。
まぁ、まずできないですよ。
一部のメディアに登場して、利益を上げている人は、本当にすごいと思いますよ。
普通の人では、無理です。
こういったギャンブル的な見方をされるFXですが、見方を変えれば違う面が見えてきます。
レバレッジを低くすれば、立派な為替投資となります。
日本円だけ持っていることのリスク
今の時代、海外との貿易はもう必須です。
日本の食糧事情を考えると、かなりの割合を輸入に頼っています。
もし、日本円が弱くなるとどうなるか。
より多くの日本円を出さないと、海外はものを売ってくれなくなると言う事です。
今は、日本円で108円出せば、1ドルと交換してくれ、1ドルの品物を購入することができます。
それは、今の為替レートで、日本円にその価値があるということです。
日本がどんどん衰退して、日本の円の価値が下がるとどうなるか。
1ドルの品物を買うのに、もっと多くの日本円が必要になるということになります。
例えば、120円とか。
となると、輸入品はどんどん価格が高くなっていくということになります。
極端な例として、1ドルが300円になると、輸入品は今の約3倍の価格になるということになります。
当然、そうなる前にもっと安い国から買うとか、色々対策すると思うので、単純に3倍にはならないとは思いますが、日本円が安くなると、物価は上がっていくでしょう。
日銀がインフレ目標2%としていますが、この理由で価格が上がるのは、悪いインフレということになり、インフレの質が違いますから。
ここは誤解がないように。
とすると。
日本円だけで資産を持っていると、それはある意味リスクとなります。
もしドルを持っていれば、日本円が下落する分、ドルの価値は相対的に上がるということなので、リスクを減らすことができます。
例として、1、000万円の資産を半分日本円で。
後の半分をドルで持った場合に、どうなるかを見てみました。
となります。
もし円安(日本円の価値が下がる)になると、ドル資産を持っていると、資産は増えるんです。
ドル換算で見ると、日本円で持っている500万円の資産が減るので、その分ですね。
では、どうやってドル資産(海外の通貨を買う)を保有するか。
方法としては、主に以下の2つがあります。
- 銀行の外貨預金
- FXで通貨購入
また別のブログで記載しますが、銀行の外貨預金は推奨しません。
あまりにも手数料が高すぎるからです。
だから、FXでの購入を推奨します。
手数料がほぼタダです。
で、レバレッジは、1倍から3倍程度に抑える。
例えば、ドルを500万円分を購入する場合、レバレッジ1倍だと、500万円が必要です。
レバレッジ2倍だと、250万円が必要となります。
レバレッジ3倍なら、150万円が必要となります。
上記に加え、毎日スワップポイントが入ってきます。
デメリットとすれば、購入したドルを実際に使えないということです。
例えば、500万円分のドルを持っているとしても、海外旅行に行くときに、持っているドルを出して使おうとしても、それはできません。
銀行の外貨預金はそれが可能です。
外貨で引き出すことが可能だからです。
これが本当にいいFXの利用方法だと思います。
間違った知識で損失を被る投資家たち
先程説明したように、ロスカットという仕組みがあるため、資産が減るということはあっても、マイナスになることは基本ありません。
が、急激な為替レートの変動により、ときにマイナスとなることがあります。
これは、ロスカットの仕組みは、各FX取引社によるもので、ロスカットするときに、本当にその価格で決算できるかは不明です。
為替レートの連続性が失われた場合には、投資家による損切りや、取引社による強制ロスカットのタイミングが遅れると。
2021年3月に、トルコリラは、15円が一気に12円台までに暴落しました。
これにより、かなりの投資家がきちんとロスカットされずに借金を抱えたと言われています。
投資家の一部には、最悪ロスカットがあるから、預けている保証金が減るとしても、借金にはならないだろうと思っていたでしょう。
しかし、なんでもそうなんですが、売買には当然反対の取引がないと成立しません。
それを考えると、完全なロスカットというのは、所詮無理なんですよね。
FX取引会社も、こういう状況では、仕方ないと思いつつ、顧客の損失を補填すると逆に取引会社が罰せられるため、泣く泣く顧客に追証を求めることになります。
顧客の損失を補填すると、取引社が業務停止命令など罰則が課されます。
それでも被害が増えるFX
なぜ、今でもFXでの被害があるのか。
いくつか理由はあります。
その一 市場の変化時に対応できるFX
基本は、中長期投資でのほったらかしです。
それは変わりません。
しかし、何か事象が発生して、それにより少し先を予想して利益を出そうとした時、考えられるのが、株取引と為替取引です。
例えば、何か世界的な問題が発生した時。
一時的に衝撃的な問題ですが、いずれ終息するだろうと。
その時に、株を買うか。それとも為替を買うか。
となると、FXで通貨を購入した方がやりやすいですね。
その二 メディアの報道
あと、これ大きいのは、メディアによる報道。
FXで利益を出している主婦。
十数万円の資産をFXで増やし、タワーマンションに暮らしている投資家。
もう本当にこれは一部の優れた人たちということを忘れないように。
あの人たちは、すごい精神力とか直感。あと運もすごいんです。
資産って、少ないときに増やすのは非常に難しいですが、ある程度資産が増えてくると、逆に資産を増やすのは簡単になります。
資産1,000万円から年間200万円の利益を出すのと、資産1億円から年間200万円の利益を出すの。
はるかに資産1億円の方が簡単です。
複利の効果もかなり出てきますから。
成功している人は、その資産が少ない時期に、利益を増やせれた人たちです。
資産が1億とか2億とかになると、あとは、ある程度の取引をするだけで自然と増えていきますから。
資産1億円あれば、5、000万円で高配当商品に投資し、年間で200万円の利益を出し、残りの5,000万円で、チャンスをずっと待ちます。
資産が多くあれば、確実に入ってくる200万円を活用し、チャンスが来ると残りの5,000万円を投資する。
要するに資産が多いと、チャンスを長く待つことができるんです。
その三 知識不足
あとは知識不足ですね。
なかなかFXの保証金率とか、なかなか難しいです。
いくらまで下がるとロスカットされるのか。
レバレッジは今いくらか。
買っている通貨の国の情勢は。
こういうことは、やはりある程度の勉強は必要です。
私は、ドルでの資産を保有しています。
それは、やはりアメリカの経済については勉強します。
それと、日々アメリカ経済の動向については、入手しています。
このブログでも書いてあるように、Excelを使ってきちんと管理することは非常に重要です。
FXについて、勉強をきちんとしないで取引し、為替の急激な変動に耐えれない。
シミュレーションをしていないので、対応もできない。
それがリスクです。
対応というのは、保証金を一時的に追加して、急激な変動をかわし、それが過ぎればまた戻すなどの対応も可能です。