今回は、「ひとつむぎの手」。
知念美希人氏の作品です。
この本も、前回読んだ「フーガとユーガ」と同様、結構前から図書館で予約していて、やっと借りれるようになったという本です。
この知念美希人の作品は、意外と読んでいます。
「仮面病棟」や「崩れる脳を抱きしめて」とか、面白くて、非常に良い作品をたくさん買いています。
今回もきっと面白いだろうなって。
この本、なんと1日で読んでしまいました。
朝、図書館で借りて、その夜には読み終えてしまいました。
夢中度は満点ということですね。
説明・あらすじ
純正会医科大学附属病院の中堅医局員の平良祐介(たいらゆうすけ)。
激務の心臓外科で働いている。
ある日、医局の最高責任者である赤石教授から、3人の研修医を見るようにと指示される。
さらに、そのうちの2人を心臓外科に入局させることという条件も。
以前より熱望していた富士第一総合病院の出向を目の前にぶら下げられて。
心臓外科の激務は痛いほど痛感している祐介。
そのうちの2名を入局させるには、と悩み出すが。
赤石にまつわる怪文書も出回り、いろんなことがぐるぐると回り始める。
さて、雄介は、無事入局をさせることができ、富士第一総合病院への出向を手に入れることができるのか。
読んだ時の感想 注!ネタバレ
大学病院って、こんな感じなのかなって。
白い巨塔とか見てたら、なんだかなっていう気持ちになっていましたが、昔はそうなんだろうっていう、結構冷めた目で見ていました。
しかし、最近でもまだあるのかって、正直思いましたね。
なんか、患者のことなんて、道具としか見ていないのかって。
もちろん平良見たいな医師は多いだろうが。
しかし上が腐っているとね。
銀行と大学病院は、他国から見るとやはり遅れているのかなって、悲しくなります。
医者なんて、本当に頭がいい人が集まっているのに。
その頭脳を他のことに使ってどないすんねんって。
医療のために使ってほしいわ。
肥後という医局長なんて、たまにいるんだよな。
調整力だけ買われて、出世するやつ。
赤石教授が言っているように、手術の腕は大したことないが、調整力を評価したって。
しかし、結局その調整力が、大事な時に反対側に作用する。
赤石教授への告発文が届き、一点反赤石が主流となると、すぐに反対側につく。
それも露骨な態度で。
まぁ、見ていて逆に気持ちいいぐらいのクズさで、面白いけどね。
三人の研修医とのコミュニケーションも、なんかわかるわって感じがしましたね。
難しいですよね。
時に生意気なやつもいるでしょう。
頭から怒っていいものか。
いやいや、感情的になるのはダメだとか。
実力があれば、力を見せつけるというのがいいのかもしれませんが、なかなか難しいですよね。
最後の3人の会話には、本当に目頭が熱くなりました。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:4
読みやすかったです。
この人の小説は読みやすいですよ。
◆意外度
意外度:4
意外度は、まあ犯人は誰だって感じ。
祐介は富士第一総合病院に行けるのか?
告発文を出したのは誰か。
赤石教授の思いは。
論文の改竄は本当にあったのか。
などなど。
◆夢中度
夢中度:5
これは1日で読んだということで、夢中度は5でしょう。
でないと1日で読んだ理由がなくなりますからね。
ぐいぐい読み進めてしまう。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:5
スッキリですよ。
面白かったし。
まぁ、祐介には本当に頑張ってほしいですね。
しかし、奥さんもいい人だな。
もう羨ましすぎる。
読んだ後、スッキリです。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。