最近特に話題に上がっている課税制度があります。
それが金融所得課税です。一体これはどういったものでしょうか。
- 金融所得とは
- 金融所得の税金
- 金融所得課税の見直し
- 投資家への影響
- 課税の方法について
- 総合課税とは
- 得する投資家と損する投資家
- 総合課税への統合
- 楽して儲けているという誤解
- 政府の進める貯蓄より投資
- 影響を受けるFXトレーダー
- 過去関連記事
金融所得とは
最近、金融所得課税の見直しが話題になっています。
そもそも金融所得とはどういったものでしょうか。
金融所得とは、株式や投資信託の売却益、配当金、利子などから得られる収入を指します。
一般的に投資家と呼ばれる人の収入源です。
金融所得の中には、当然先物取引も含まれており、FXなどもそうです。
少し誤解されるところでは、仮想通貨の売却益は、これとは少し異なります。
金融所得の税金
現在(2025年2月時点)、日本ではこれらの金融所得に対して、一律20%の税率が適用されています。
正確にいうと、20.315%です。
なぜ、このような後ろに0.315%がついているのでしょうか。
その上に「復興特別所得税」という仕組みが加わっています。
この復興特別所得税は、東日本大震災の復興財源として、通常の所得税額に対して2.1%が上乗せされる仕組みなのです。
計算すると、15%×2.1%=0.315%となり、これが国税部分に加算されます。
そこに地方税の5%が加わるため、合計すると15%+0.315%+5%=20.315%となるわけです。
金融所得課税の見直し
金融課税方式の見直しは、2021年5月10日に開催された「金融所得課税の一体化に関する研究会」で議論が始まりました。
この会議では、公平性・中立性・簡素性といった税負担の三原則や、投資促進を通じた経済活性化の観点から、金融所得課税の一体化の方向性や課題について意見交換が行われました。
具体的な検討事項として以下の2点が挙がっています。
◾️異なるリスク・リターンを持つ投資対象の組み入れによる分散投資効果の向上
◾️リスクを取って得た所得と取らないで得た所得の課税の中立性
上記に加えて、損益通算の範囲拡大や、租税回避防止策の実効性確保のための方策についても議論されています。
損益通算とは、投資で得た利益と損失を相殺する仕組みのことです。
税金計算上の大きな武器になるもので、具体的にいうと。
例えば株式投資で100万円の利益が出たとしても、同じ年度に別の銘柄で30万円の損失が発生していれば、その損失分を利益から差し引いて70万円分のみが課税対象となります。
投資家への影響
この金融所得課税の強化は、一方で投資家心理に与える影響が大きいと指摘されています。
例えば、過去に金融所得課税の強化が取り沙汰された際、株式市場が急落したこともありました。
そのため、経済活動を阻害しないような工夫が求められています。
課税の方法について
金融所得課税については、さまざまな方式が検討されています。
■【金融所得のみを対象とする累進課税】
この案では、株式や投資信託などから得られる金融所得に対して、所得が大きくなるほど税率が高くなる仕組みを導入します。
つまり、利益が大きい投資家ほど高い税率が適用されるため、所得の再分配効果が期待できます。
反面、損益通算や繰越控除の活用が制限される可能性があり、中長期的な資産形成にブレーキがかかる懸念もあります。
■【総合課税への組み込み】
こちらは、金融所得を給与所得や事業所得など他の所得と合算し、累進税率で課税する方法です。
全体の所得状況に応じた公平な課税が実現できるというメリットがあります。
一方で、サラリーマンの皆さんのように給与所得が主な収入の場合、金融所得との合算により高い税率が適用される可能性も指摘されています。
投資の成果が思ったほど手元に残らなくなるリスクが懸念される点です。
■【現行制度の特例措置の見直し案】
累進課税や総合課税とは別に、現行の一律税率制度を維持しつつ、損益通算や繰越控除の適用条件、税制上の優遇措置を再検討する案もあります。
これにより、投資家が不利益を被らずに適正な税負担となるよう、細かい調整が試みられています。
有識者の間では、2つめの総合課税への統合がよく挙がっています。
総合課税とは
総合課税とは、給与所得や事業所得、不動産所得、さらには一部の金融所得など、さまざまな所得を合算して一つの課税所得とし、累進課税の方式で税率を決定する仕組みです。
所得が多くなるほど高い税率が適用されます。
得する投資家と損する投資家
この総合課税への統合の場合、よくみるとわかるように、現在の金融所得課税20.315%を下回るケースもあります。
金融所得を足しても、195万円以下だと、税率は5%で、そこに住民税を足しても15%ですからね。
ただ、投資をしていてその収入というのはちょっと考えられないかもですね。
したがって、大抵の投資家は今よりも税率が増えるということになります。
では、なぜ有識者の間でも、この総合課税への統合が有力視されているのか。
総合課税への統合
言うなら、税の平等性でしょう。
シンプルで分かりやすいということ。
多く稼いでいる人は、多くの税金を払いなさいと。
この方式が1番分かりやすいという点で、有力視されていると思います。
楽して儲けているという誤解
ただし、よく言われる以下のこと。
正直これは納得できませんね。
投資の元となる資金は当然一生懸命働いて得たものです。
大半の人が。
節約して、頭使って増やしたお金で、そのお金が投資により働き出した途端、また多額の税金を取るのかと。
その辺をしっかりと議論してほしいところですね。
投資でお金を得るには、相応の資産が必要であり、その資産を築くのに今まで苦労してきました。と。
政府の進める貯蓄より投資
あと、これですね。
政府、国は貯蓄より投資へ と散々啓蒙活動を行ってきました。
NISAの導入もそうです。
金融所得課税はその流れに逆行しませんかと。
新NISAの投入で、非課税枠は1,800万円と大きくなりました。
1,800万円は非課税だから影響ないでしょっていうかもしれませんが、今の世の中1,800万円で足りますか。
投資する人は、1,800万円をゴールとは見てませんよ。
もっと上を見ていて、若い世代では億の資産を目標にしている人もいます。
その投資熱を冷めさせるのかということです。
影響を受けるFXトレーダー
先ほどのNISAの話で、1,800万円の新NISA枠があるので、NISA口座内での利益は非課税となります。
金融所得課税の議論があっても、実はNISA口座内は関係ありません。
当然、1,800万円をこえて運用したい人には関係がありますが。
今の時点で最も影響を受けるのは、実はFXトレーダーです。
実は私のようなFXトレーダーは、すごく心配しています。
今も20.315%の税金を毎年確定申告で納税しているのに、さらに増えるのかと。
FXトレーダーは、市場参加者の多くが即時に退場する過酷な市場です。
しかし勉強してスキルを身につけて利益を出しているトレーダーもいます。
それは労働と同じですよね。
労働といえば、総合課税でってなるかもしれませんが、今までと比べて増税というところが問題なんですよね。
過去関連記事