ドラマやマンガでもよく扱われる警察官のお仕事。
また日々のお困りごとから交通違反の取り締まりなど、非常に身近な存在として、お世話になったこともある(!)人も多いのではないでしょうか。
そんな警察官のお仕事の年収・給与について、今回は見ていきましょう。
おおまかな警察官の種類
キャリア警察官
国家公務員総合職採用試験という超難しい試験に合格した、エリートのみが得られる称号。
いわゆる「警察官僚」と呼ばれる人たちで、スタートラインも違いますし、そのあとの昇給スピードにも圧倒的な差があります。
30代後半で年収1000万円、その後も2200万円程度までの昇給が見込めます。
業務内容もバリバリの幹部候補生。
まさに警察組織の中枢を担う選ばれし人たちです。
準キャリア警察官
国家公務員一般職採用試験を合格した警察官は準キャリア公務員と呼ばれます。
キャリア警察官よりもランクは落ちますが、給与水準をみるとそれでもかなり魅力的です。
30代後半で800~900万円ほど得られる場合もあり、そのあとは1,300万円ていどもで上がっていきます。
十分な水準だと思います。
ノンキャリア警察官
各都道府県の警察官試験を合格した警察官です。
刑事や鑑識官、白バイ隊員、機動隊など私たちがよくドラマで目にするのも、現場警察官の方たちです。
警察官の99.9%はノンキャリアです。
警察官の種類というのは採用時の区分であり、その後のキャリア形成のスピードに大きく影響してきます。
各役職・階級ごとの給与体系はばっちり決まっており、この階級ならこの給与、というのが非常にわかりやすい職場でもあります。
この給与について見ていきましょう。
警察官の給与
警察官の初任給
警察官の採用区分はⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類という区分もあります。
Ⅰ類は大卒、Ⅱ類は短大卒、Ⅲ類は高卒、といったところです。
この区分で初任給も変わってきます。
警察官の給料は、警察官の階級によって給与テーブルが厳密に決まっており、同じ階級であればどの区分の警察官であれ同じ給与です。
つまり階級=給与です。
ポイントはこの階級です。
階級を上げていくと給与も上がっていくのですが、階級を上げるために昇任試験を受けて合格する必要があり、この試験の受験資格を得るためにかかる年数が区分によって大きく変わってきます。
警察官に採用された後、1度目の昇任試験を受けられるのは、Ⅰ類なら2年、Ⅲ類なら4年となっており、その後の2度目の試験、3度目の試験も同様です。
たとえば階級を最速で4つ上げるのに必要な年数は、Ⅰ類だと8年、Ⅲ類なら16年かかってしまうということです。
これによって結果的に昇任スピード=昇給の速さも大きな差が出てきます。
Ⅰ類区分の大卒警察官と、Ⅲ類区分の高卒警察官では、平均年収で100万円以上差がつくことになります。
さらに、キャリア警察官かノンキャリでも圧倒的な階級差ができるので、キャリア後期(55歳ぐらい)の最終的な年収差は時に1000万円を超えます。
とはいえ、警察官の給与、待遇は恵まれています。
警察官の初任給、年収、ボーナス
採用区分Ⅰ類の警察官では20万円~25万円、Ⅲ類の警察官では16万円~20万円前後。
初年度からこの基本給でさらに、この額面プラスさまざまな手当が支給され、1年目からきっちりボーナス支給されます。
ですので、民間企業の一般的なサラリーマンと比較するとかなり恵まれていると言えます。
また、ボーナスは約4か月分支給されます。
ですので警察官の平均年収700万円のケースで計算すると、月収約44万円、ボーナスの支給は夏冬合わせて約175万円となります。
手取りで考えると月34万円、ボーナスは132万円というところでしょうか。
さらに諸手当についても、種類や支給額が多く、かなり充実しているといえます。
残業手当や通勤手当はもちろん、扶養家族や住居にかかる手当も厚く、また勤務地に応じて地域手当や寒冷地手当なども支給されます。
業務に関する手当としては専門性、危険性の高さに応じて特殊勤務手当も支給されます。
これら手当の支給額は年間合計で平均14万円、年間では約170万円に上ります。
日本の治安を守るという重要な業務に従事する警察官の処遇は、それ相応に保証されているといっていいでしょう。
給与の地域差
全国津々浦々にくまなく行き届いている警察組織。
給与の地域差はどうなっているのでしょうか。
各都道府県ごとに警察官の年収を見てみると、当然ですが人口、税収によって開きがあることがわかります。
つまり、東京、大阪、愛知など大都市圏かつ経済活動が活発な地域ほど警察に割ける予算が多く、警察官の収入も高いということになります。
具体的に見てみると、警視庁=東京の平均年収が約770万円で最も高く、平均年収が最も低い青森県では約628万円となっています。
差は約150万円ですが、各都市の物価の違いや、犯罪発生率=仕事量や仕事の危険性という点を考えると、それほど差はないと見ていいと思います。
むしろ繁華街に勤務して激務に追われるよりは、給料は安くても、地元でマイペースに、故郷の治安維持に貢献したいという人も少なくなく、どの自治体の採用試験を受けるかは各自の考え方次第です。