大藪春彦氏の小説は、なんか読みだすとくせになってしまうな。
特に伊達邦彦シリーズは、もうなんか今となっては、バギなみだ。
バギっていう漫画があるんだが、少し似た感じがする。
ちなみに漫画、バギでは、決闘により地球が揺れるっていう場面もあったわ。
説明 注!ネタバレ
概要はというと、伊達邦彦はアメリカのビバリーヒルズで、相変わらずのんびりとしていました。
そこでNSA(国家安全保障局)の罠に落ち、一定期間に解毒剤を注射しないと、毒が回って死んでしまうという薬をうたれてしまいます。
NSA ・伊達となり、日本で助教授という身分で、のんびりと次の指令に備えて待機していました。
そこで、野獣を蘇らせるごとく、次々と敵が現れてくるという感じですね。
国宝を盗み出し、その脱出時にやくざに囲まれて、戦闘状態になるとか、北海道を独立させようとする悪者に協力しつつ、NSAの仕事をするなど、本当にスーパーマンのごとくの大活躍です。
読んだ時の感想
なんかまさに伊達邦彦ショーって感じですね。
もう既に30代に突入した伊達邦彦だが、衰えが全く見えず、逆に20代の頃よりも若々しい感じがします。
というか、こんなの多いなって感じですが。
大藪さん好きなんですよね。
今の時代だと、時代錯誤と笑われてしまいそうですが、こういうのは男性しか読まないですからね。
でも、決して鵜呑みにしないようにね。
笑われますよ。
この小説は、大きく分けて2部から構成されています。
1部は、陰の実力者である秋月氏との闘い。
戦いと言いつつ、秋月氏が持っている国宝「曜変天目」という陶器を盗み出すというもの。
まぁ、盗み出した後、外でやくざと派手な打ち合いが始まるんですが。
もちろん、イギリスの諜報部員として訓練を受け、トップクラスの成績をたたき出した伊達邦彦に、日本のやくざがかなうわけもなく。
あっさりと蹴散らします。
この一部で笑えるのは、国宝「曜変天目」がある部屋をあけるカギと言うのが、義理の娘の喘ぎ声。
これ笑える。
マジかって。
そして2部は、香港にある組織が日本へ移住するために北海道を独立させるという壮大な計画に加担するというもの。
当然そんなもの日本政府が認めるわけもないんだが、そのために三沢基地にある核爆弾を盗み出し、脅しの為に爆発させる。
裏で操っている悪党を北海道まで追いかけ始末するというもの。
実際に小説の中で、核爆弾が爆発しています。
おいおい、駄目でしょう。ってことですが、大藪さんは何でもありのようです。
日本政府と交渉し、敵を倒したわけですが、報酬は100億ドル。
おいおい、桁がすごすぎてびっくりします。
日本円で1兆円。
いくらなんで持って思いますが、日本政府が出し渋るのを見越して、核弾頭を1つ隠し持ち、それを交渉の武器にするというまたすごいことを。
まぁ、本当に後半になるにつれ、漫画バギって感じになってきましたね。
伊達邦彦の目標は、伊達王国ですから。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:2
やはり知識が豊富すぎて、専門用語がばんばんでてくる。
少し慣れるまで読みづらいですね。
慣れてくると、その辺を読み飛ばして読めるようになるので後半は読みやすくなります。
登場人物は意外と少なく、わかりやすいです。
◆意外度
意外度:2
ほとんど意外性はなし。
もうあまりハラハラもないですね。
伊達邦彦は勝つんだろうって思いますからね。
ほぼ伊達邦彦が思い描いたとおりに進んでいきます。
罠もそうですが。
ただ一つ、失敗したのは、やくざと撃ち合いをして、ほぼ倒したんですが、残党に追い回された後、ほっとしたときに香港の組織にとらわれた時ですね。
その時は驚くほどあっけなかったですね。
◆夢中度
夢中度:3
さすがに夢中と言うほどではないんですが、面白くて読み進めると言った感じですね。
面白いと夢中になるってのは微妙に違うんですが、おもしろく伊達ワールドを楽しむ問感じですかね。
野獣が少しづつ蘇ってくるようで。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:4
今回は、日本政府からもらった報酬で、島を買っています。
そこで暮らすんですが、なんかいい感じでしたね。
冷徹なイメージがする伊達ですが、そこにつれていく仲間と言うか。
子供代わりと言うか、自分の身とオーバーラップさせたような感じで。
なんか親心が少しづつ出てくる感じが描かれていましたね。
この本の中で、2度そういうシーンがあったので、意外でしたね。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。