堂場瞬一氏の鳴沢了刑事シリーズの第5作目。
鳴沢了シリーズですが、もうなんか癖になってしまったというか。
終わった後が気になるというか。
事件が発生した後、えっ、この後どうなるんだろうっていつも思わさせるんですよね。
前回の孤狼は、意外とすっきりとしたんですが、お父さんとその後どうなったのか?って言うところがまた気になって。
もうこうなったら、鳴沢了刑事シリーズは、すべて読んでしまわないと、なんか気持ち悪いって感じになってきました。
説明 注!ネタバレ
概要はというと、お父さんが亡くなり、新潟に一時帰った鳴沢了刑事。
葬儀も終わり、自宅をどうしようかと考えている時、突然訪ねてきた男。
それが鷹取洋通(たかとりひろみち)だった。
15年前に起こった殺人事件の被害者の息子。
その殺人事件を担当し、指揮していたのが、鳴沢了のお父さんだった。
あいつが犯人だ!っていう男は、被害者の大学の仲間であり、NPO法人を一緒にまとめていた同僚。
限られた時間の中で、亡き父親が解決できなかった事件を追うことになったが、いくつもでてくる違和感。
もやもやしながらも、時間に限りがある中、調査を開始する。
立場上、刑事と名乗りつつ、何の権限もなく。
昔の同級生で、新潟で刑事をしている安藤の妨害。
ずっと抱いていた違和感は。。。
読んだ時の感想
最近、堂場瞬一氏のツボにはまったのか、読んでいてすぐに夢中になってしまいますね。
おっ、これおもしろい。
この先どうなるんだって感じで。
鳴沢了刑事も少しづつ、柔軟になり、刑事として更に磨きがかかってきているなって。
普通は、管轄外の事件にクビを突っ込むこと自体問題視して、絶対やらなかったはずだが。
亡き父親との確執もあり、興味がわいたのかと。
しかし、最初の登場からなんかすごい違和感を思わせる鷹取洋通。
喜怒哀楽がすごく、なんか近くにいるとみんなが避けて通るような。
でも、ひょっとして身近にもいるかもと思うと、なんかゾッとする。
鳴沢了刑事にいきなり近づいてくるが、刑事だから何も危害などは加えられないと思っているが、これ普通の人なら、本当に怖いよなって。
父親が殺され、犯人が捕まっていないという状況で、施設に入れられ、なにもうまくいかない人生を呪って生きてくると、こんな感じになるのかなって。
結構読んでいて、背筋がゾッとする人物像が、すごくよく描かれているなって。
15年前の事件について、聞いて回る鳴沢了刑事に対して、関係者の態度は冷たい。
そりゃそうだろうな。
しかし、反面犯人は捕まっていないわけだから、気にはなる。
時効が来てるからたとえ見つかっても法ではさばけない。
このジレンマも、各登場人物が感じるやるせなさ。
この事件により、あれだけ嫌っていた父親の一部を知ることになり、もっと酒でも交わしていたらという思いに。
亡くなって後悔するって本当につらいよね。
しかし、「孤狼」の最後に、事件の結果について父親に連絡しようかと言う感じで終わり、実際には、お見舞いにも何度か行ったようで。
また、その時には、付き合っている内藤優美とその息子である勇樹に会わせているところが、なんかほっとしたな。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:5
読みやすいですね。
慣れてきたからか。
アクションが激しいところになると、少し描写がつかみづらいところもあるが、基本的には、淡々とした感じで頭に入りやすい。
◆意外度
意外度:5
意外度マックス!
こんかいも面白いね。
事件の真相が徐々に明らかになるほど、どんどん吸い込まれていく。
読者にもひしひしと伝わってくる違和感。
この正体は、本当に最後の方でないとわからない。
◆夢中度
夢中度:4
一気に読んでしまった。
大体2日で読み終わったというのは、かなり速いペースで読んだ感じがする。
一気に読むと言っても、読める時間が限られているので、その限られた中で、2日で読んだというのは結構なスピードってこと。
ちょっとコロナウイルス感染拡大により、会社に出社がないんだけど、電車の中で読む時間が結構有効だったりもするんだけど。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:4
みごと解決だが。。。
この後どういう処分になるんだろうかと。
刑事として動いてるわけではなく、管轄外での事件。
事件と言うか、最終的には事件になるんだけど。
この後どうなるのかなって。
これは次の「讐雨」(しゅうう)で出てくるのかな。
また次読まないといけなくなるな。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。