今回は、「砂の上のあなた」。
白石一文の作品です。
白石氏の作品としては、やはり「一億円のさようなら」。
これはほんとうにいい本だったわ。
読んだ直後に、ずっと手元に置いておいた本はそうはありません。
あと、たった数カ月たった時に、また読み直したのは、たぶんこれだけだったかな。
ということで、白石氏には結構期待しています。
ただ、前回の「彼が通る不思議なコースを私も」は、最後の最後にかなりがっかりさせられました。
さて、今度はどうか。
期待しながら読みました。
説明 注!ネタバレ
概要はと言うと。
主人公は、西村美砂子。
子供を授かるために、一生懸命の専業主婦。
旦那は、サラリーマンで、出張で不在がち。
そんな日に、ある男性から電話が。
その電話の内容は、亡き父がある人にあてた手紙を持っていると。
その相手とは、長年付き合っていた愛人でした。
その愛人は既に亡くなっており、その息子だと名乗る男から、手紙に書いてある内容について話がしたいとのこと。
その内容とは。
亡くなる前に、依頼されたということで、お骨の一部を、自分のお骨に一緒に入れてほしいとのこと。
信じがたい話ではあるけど、手紙の筆跡は父親のものであることは間違いない。
まぁ、そこから話はてんやわんやに。
読んだ時の感想
正直あんまし書くことないかな。
といっても、書評なので、何か書かないとね。
最初の方は、特に変なところもなく、興味津々で読んでました。
なんかミステリーな予感って感じで。
うん?
って思いだしたのは、鎌田浩之が、子供について語りだした時。
もう支離滅裂と言うか。
こういう時って少しぐらい共感できる部分があると思うんだけど、離している内容がもう、なんか突っ込みどころ満載で。
大まかな概要としては。
「誰も子供なんて作らなきゃ絶対にハッピーになるんですよ。ほんとに、もう誰一人親になろうなんて思わなきゃいいんです。」
「飢餓も貧困も環境破壊も戦争もね、絶対確実に、しかも誰一人傷つくことなく解消できる手段が一つだけある。それはね、俺たちが繁殖行為をただちにやめて人口を一気に減らすってことですよ。
六十億を超える現在の地球人口が現時点の生産力と市場規模のままで千分の一くらい、まぁ六百万にでも減らば、みんな大金持ちで寛大で、誰一人他人より優位に立とうなんて下卑た野望を持つことのない世界が到来する。」
まぁ、こんなくだりをながながと書いてるんだけど、普通の人なら、こいつアホかって。
こんなのに、なるほどと少しでも思う奴は、ほんとうにアホだ。
宗教にいまだに惹かれる人がいることを考えると、こんなことにも納得する奴がいるのかな。
怖いわ。
繁殖行為は一気にやめたら、その後は人口はどんどん減り、老人ばかりになり、経済が成り立たなくなる。
だれが、生産力や、市場を維持するんだ?
お金は誰が稼ぐんだ?どうやってそれを得るんだ?得たお金で、どこに使うんだ?
正直こんなことを平気で話す人を見ると、普通は引く。
やばい、こいつって。
で、もう二度と会わないようにする。
にもかかわらず、美砂子は普通に会う。
バカか。。。
あと、美砂子も、なんか宗教めいた、なんか謎の解釈を本の中で永遠と語ってる。
いやいや、こんな偏った、気持ち悪い考えをずっと読んでいるって、そうとうきついぞ。
あと相関図。
複雑すぎて、偶然性と必然がもう混乱してくる。
よく言うが、偶然が2度続くのは、奇跡で、3度続くともうそれは意図的だ。
この本の中で、偶然はいくつあるのか。
3つ以上は確実にあるだろ。
最初の大きな偶然は、隣人が鎌田浩之のお店を知っていたということ。
これ、都会を知っているとすごい偶然と言うのがよくわかる。
もうほんとうに、ほぼほぼありえないってレベルだ。
よくこんな偶然書くなって思うよね。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:2
もう、登場人物の相関図はかなり複雑。
その上、これだけ偶然が重なるなんて、通常ありえない。
これは、前回読んだ「彼が通る不思議なコースを私も」でもあり、非現実すぎるって感じ。
あと文章も、なんかよくわからない。
はぁー、っていう感じの理論で、全く受け入れられず、後半はかなり苦痛であった。
◆意外度
意外度:3
途中意外?ってなったけど、後半読み進めていくと、これはもう以外ではなく、むりやりやなって。
こんなんありえないって感じで、逆に意外度はない。
◆夢中度
夢中度:1
後半に行くほど、興味がなくなっていった。
なんだ、これ?って。
この関係って、世の中こんなに狭いんだっけ?
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:1
スッキリしようがない。
これは白石氏の考えか?
すべての人の、全ての考えが、なんかもう、支離滅裂と言うか。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。