今回は、「カラスの親指」。
道尾秀介氏の作品です。
これ、検索すると結構昔に映画化されているんですね。
いやー、あらためてみると2011年初版と。
結構古い小説でした。
うーん、どおりで闇金とか、なかなか現在とは少し様相が違うなって。
説明・あらすじ
詐欺師として生きるさえない中年二人組。
タケさんこと、竹沢と、テツさんこと入川鉄巳(いるかわてつみ)。
ある日、街中で出会ったまひろという少女と、その姉であるやひろ。
そしてやひろの彼氏である貫太郎。
奇妙な同居生活が始まる。
しかし、竹沢には、ある理由で追われる理由が。
5人で暮らしている、その家もとうとう気づかれてしまい。
追い詰められた5人は、大掛かりな仕掛けを考え、それを実行に移すことに。
うまくいったか。。。
と思ったが、そこにはある秘密が。。。。
読んだ時の感想 注!ネタバレ
正直この小説も、ネタバレできないですね。
これ言うと、もう台無しなので。
書きたいというのはないけど、感想だけ。
すごく読みやすくて、なんか闇金融とか出てくる割に、すごくさっぱりというか、感じがいい。
全ての描写が優しいって感じ。
テツさんの話は、すごく感慨深いものがある。
特に指の話。
お父さん指、お母さん指、お姉さん指、お兄さん指、赤ちゃん指。
お母さん指は、どの指とも触れ合えるが、唯一赤ちゃん指と触れ合うのが難しい。
しかし、そこでお父さん指を添えると、赤ちゃん指に触れ合える。
家族も一緒。
あと、もうひとつ、この話には続きがあり。
この5本の指でただ、お父さん指だけが、他の指を正面から見ることができる。
これ、すごいね。
テツさんがこの話をするときに、ぐっとなりました。
いい話だなって。
すごく優しい小説だなって思いましたね。
さて、竹沢が、まひろや、やひろを家に泊めてやるのは、ある理由がありました。
それはワタ抜きっていう取り立て屋をやっていた時、その取り立てが原因で、彼女らの母親が自殺したからです。
その償いもあり、竹沢は、住む家が無くなった彼女たちを家に住まわせるのです。
後半の大作戦は、手に汗握るってまでには行きませんが、結構スリルありました。
読み応え十分です。
どうなるのか。。。
成功するのか、失敗するのか。
それは読んでからのお楽しみに。
多分、絶対誰もエンディングは想像できないですよ。
たっぷりと物語を楽しむことができます。
これ、おすすめですから読んでみてください。
映画化されるのわかるわ。
画像検索した時に、阿部寛が最初に出てきたから、竹沢と阿部寛がリンクしてしまって。
読んでる時に、阿部寛の顔がそのまま出てきた。
物語の中では、竹沢はそれほど大きくないと言っていますが、その辺は多少異なりそうです。
あと、貫太郎は、デブっていう設定ですが、映画版では少しイケメン俳優がやっているようですね。
ポスターしか見てないんでわかりませんが。
ちょっと映画もみてみたくなりました。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:4
読みやすいですね。
テツとかタケとかが、若干ひっかかりますが。
あと、まひろとやひろ。
◆意外度
意外度:5
意外度は最高でしょう。
誰も結末はわからないと思いますね。
ただ、私の今までの書評を読んでいると、違和感とこの納得感でわかるかもしれません。
◆夢中度
夢中度:5
後半は一気に読んでしまいましたね。
前半は、のんびりと読みました。
つまらないからではないですが。
ちょっと丁寧に読もうかなって感じですね。
面白いので夢中になるのは間違いありません。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:5
スッキリです。
しかし、うーん。
ちょっとさびしいね。
何がかって。
それは読んでみてください。
しかし、基本ちょースッキリです。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。