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【サラリーマン書評】「疑装」堂場瞬一~今後の日本を暗示する外国労働者の闇

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堂場瞬一氏の鳴沢了刑事シリーズ

あと、残すは「久遠」のみとなってきました。

今回は、「疑装」(ぎそう)。

相変わらず、鳴沢了刑事が絡むと、どの事件も普通の事件ではなくなる。

前回の秘匿と同様。

今回は、群馬県の片田舎が舞台となりますが、ここの街の状況は将来の日本を思い起こすような感じです。

 

今回の物語も、いろんなところで著者である堂場氏が持っている問題意識と言うか、そういうのが随所に出てきます。

 

田舎の刑事については、根底にあるのは刑事としての資質。

これはなんだろうか。

読む人によっては嫌悪感を感じると思うんですがね。

それぞれに誇りをもってやっている人はいると思うので、少し気分は良くないですね。

 

あと教育現場に対する不満。

これはやはり誰でも持っているものでしょうか。

読んでいて、本当に責任逃れと言うか、学校では家庭環境まで責任持ちません。

それは各家庭の問題です。

いじめとか、家庭内暴力なんかは、知りませんと言う態度にたいする怒りも、随所でにじみ出ています。

 

最大の課題と言うのは、外国人労働者についてですね。

これは今後の日本の未来予想図と言うか、将来こういうことが日本のあちこちで起こるんではないかと言う不安が、見事にこの街を通して語られています。 

 

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説明 注!ネタバレ

概要はというと、相変わらず西八王子署に勤務している鳴沢了刑事

前回の秘匿で、てっきり捜査一課での活躍かと思いきや。

藤田刑事が、鳴沢刑事のお目付け役として西八王子署に来たということ。

うーん、秘匿では大活躍だと思ったんですがね。

やはり、突っ走りすぎた感がありますね。

 

ということで、暇な西八王子署の刑事課にいました。

 

ある時に、一本の通報がありました。

子供が交番に保護されたとのこと。

その子が何もしゃべらないので、対応してほしいということで。

なぜかしら、刑事課に連絡が入り、鳴沢刑事と藤田刑事が対応することに。

 

かなり衰弱していたということで、病院にいてるという子供に話を聞くが、まったく状況を聞くこともできず。

生活安全課に任せるように藤田刑事は言うが、どうしても気になるため、鳴沢刑事は様子をみることに。

 

そんな中、病院からその子供が失踪してしまう。

 

失踪ということで、事件かどうかわからないまま、唯一の手掛かりとなったノートから、その子が群馬県のある街から来たことがわかった。

 

鳴沢刑事は、その子供が住んでいたという群馬県の街に出かけ、なにかヒントがないかを探ることに。

 

その街の状況や、その子に関するある事件から、鳴沢刑事はただならむ事件の匂いをかぎ取ることに。

 

なんだかもやもやとしているなかで、ある重大事件が発生することに。

 

ってな感じです。

 

読んだ時の感想

 

まず最初に群馬県のある田舎の街についての状況が非常に不安な状況でした。

と言うのは、ブラジル人を大量に雇れている工場の存在。

そういったブラジル人の一部は特殊なコミュニティを作り、日本人との付き合いを避けて、生活をおくっている。

 

世界各国にある中国人街とか韓国人街、日本人街とか。

そんな感じですね。

 

ブラジル人は、現地ではマナーを守らない、交通ルールは守らない、あいさつなどのコミュニケーションは取らないと、非常に迷惑がられている様子。

バブル時代に労働力不足のために、ブラジルから労働力を集めたのは日本企業。

 

日本語を会社としても教えるような対応はしてるが、コミュニティの中で暮らす分には必要ないと、あまり熱心ではないブラジル人も多い。

子供は現地の学校に行くが、やはり言葉の壁は高く、なじめる子供となじめない子供がいて、なじめない子供は学校に行かず、結局将来は周りに迷惑をかける大人に。

 

そんな中での、あるブラジル人が犯した交通事故。

その事故に対応する地元の警察。

田舎の警察で、なるべくいざこざを起こさないようにする警察は、ブラジル人にはあえて見て見ぬふりをするように。

 

ブラジル人が助けを求めても熱心な対応をしないため、ブラジル人も警察を信用しなくなるという悪循環。

ブラジル人が絡む事件が発生しても、情報が集まらない。

治安は悪化の一方。

 

これ、本当に将来の日本のようで非常に怖いと思いましたね。

 

少子化により労働力を確保できない企業は、外国人労働者に頼らざる負えなくなります。

日本に来る労働者にとって、英語と文法がことなる日本語の習得はかなり難しいと思います。

やはり言葉っていうのはかなり重要です。

また、日本人が持つ勤勉さや、時間厳守の精神などは、外国人にとっては逆に苦痛と感じるでしょう。

最近でも、日本人もこういうのをめんどくさがるようになってきていますから。

 

しかし反面、インフラの充実や、治安、食事の安さ、教育水準の高さなど、外国人にとって魅力的な国なので、日本から自国へ帰ろうとする人は少ないかもしれません。

生活するうえでの文化にはなれないけど、日本にあるサービスは魅力。

そうなると、どうしても日本人といざこざが起こっても仕方ないでしょう。

もちろん、日本になじんで日本人よりも、もっと日本人らしくなる外国人もいるでしょう。

というか、ほとんどの人がそうなると思いますが、ならない人も一定数いるでしょう。

 

その人たちが、イメージを悪くし、また犯罪を犯し治安悪化を招くことも予想されます。

ほんとに読んでいて、これは今でもどこかの街は現実に起こっていることなのではと考えてしまいます。

 

教育現場についても、少し考えさせられるところがあります。

なんというか、もう教育現場、学校では手に負えないという責任放棄。

責任放棄と言えるのか、そもそもそこまで学校に求めること自体間違っているのか。

 

各生徒の家庭環境まで、学校、先生が責任をもつものか。

生徒の一人一人の様子をしっかり見て、異変を気付かないといけないのか。

 

こう考えると、やはりそこまで求めること自体、今の学校では無理だと。

この本の中では、学校の先生に対して、もっとしっかりと見てくれていたらと言う思いがありますが、改めて考えると、それは期待しすぎかと。

 

今の先生の労働環境を考えると、そりゃ無理だろ。

そうしてきたのは、親ですからね。

 

家庭のことに口出すな!って言ったり、過剰に自分の子供に対しての教育の要求。

どれも矛盾だらけで、教師を疲労させるだけです。

なるべく面倒なことを避けるようになっても、それは仕方ないことでしょ。

 

その上、外国労働者の家庭となれば、なおさらですよ。

 

いろいろ、読んでいて、考えさせられる課題が盛りだくさんです。

その課題・問題についても、答えがあるかというと、答えはありません。

なんかもやもやという気持ちがありますが。

 

総評

◆読みやすさ

読みやすさ:4

読みやすいですね。

登場人物も多くないし。

難しい描写もありませんからね。

 

◆意外度

意外度:4

正直、こういう事件ものって、徐々に事件の真相がわかってくるので、意外度っていうのはあってないようなものなのではと。

しかし、最初から読んでいくと、少しづつ出てくる事柄が意外だったりとします。

今回は、まだ鳴沢了刑事が西八王子署にいて、藤田刑事が西八王子署にいてるというのが一番の意外なことだったりしますね。

 

◆夢中度

夢中度:4

やはり、この鳴沢了刑事シリーズは、引き込まれますね。

夢中度は相変わらずの評価4。

もうすぐこのシリーズが終わると思うと非常に悲しく思ったりもします。

次回は上・下巻の大作なので、期待しています。

 

◆読んだ後のすっきり度

読んだ後のすっきり度:3

やはり問題を提起している物語と言う感じで、なんか後味が。

この問題は、解決策がないという、非常に奥の深い問題ですから。

今後の日本で、このような状況の街が増えていくかと思うと、正直暗い気持ちになります。

 

堂場瞬一 鳴沢了刑事シリーズ

シリーズは以下のようになっています。

  1. 雪虫(読破)
  2. 破弾(読破)
  3. 熱欲(読破)
  4. 孤狼(読破)
  5. 帰郷(読破)
  6. 讐雨(読破)
  7. 血烙(読破)
  8. 被匿(読破)
  9. 疑装(今回)
  10. 久遠(上・下)

 

 

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読書について

本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。

いい意味でも、悪い意味でも。

時に深く考えさせられることもあります。

人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。

最近世間では本離れが進んでいると言われています。

本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。

ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。

もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。

駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。

もっとみなさん本を読みましょう。

そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。

ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。