今回は、「村上海賊の娘」。
和田竜氏の作品です。
この小説は前から気になっていたんですよね。
ただ、文庫本で全4巻なんで、なかなか手が出せませんでした。
最近本は全て図書館で借りてるので、思い切って借りてみました。
大体図書館での借りられる期間は、2週間。
基本、1冊は2、3日で読めるんですが、他にその時にすることが色々あれば、もっと延びます。
図書館には結構便利な予約方法があり、順番に予約を実行してくれます。
まずは、1巻。
1巻が貸出可能になると、次に2巻。
というように。
しかし今回は、続け様に4冊同時に貸し出し可能になりました。
うーん、2週間で4冊読めるかなって。
図書館には申し訳ないんですが、3巻と4巻は、延長申請させてもらいました。
説明・あらすじ
村上水軍とは、瀬戸内海で活動していた水軍(海賊)です。
主に、芸予諸島(愛媛県と広島県の間)を中心とした海域で活躍していました。
その村上水軍(村上海賊)は、三つの家に分かれており、能島村上家、因島村上家、来島村上家となっていましたが、その中で特に、能島村上家は、君主を持たず独立して家業を行なっていました。
時は戦国。
能島村上の当主の村上 武吉。
海賊として多くの名声を轟かせていた。
彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、二人の息子ではなく、娘の景(きょう)だった。
地元では、醜女(しこめ)と呼ばれ、悍婦(かんぷ)のため、嫁の貰い手もない。
しこめとは、醜い女という意味だが、当時の美人という基準に合わないその容姿は、今で言うハーフのようなものだと。
ほりが深く、目が大きい。
戦が好きなこの景は、合戦の地、難波(なにわ)に向かうことに。
読んだ時の感想 注!ネタバレ
この本は、かなり面白かったな。
全4巻という、結構な量だったんですが、意外と早く読めました。
それだけ夢中になったと言うことですが。
最初は醜女(しこめ)と言うことが強調されていたので、なんか主人公としては魅力的じゃないような感じがしました。
しかし、これは当時の美人の基準をもとにしていただけで、なんかブサイクというのとは違うようです。
当時は、のっぺりして、顔におうとつの少ない、能面みたいな顔が美人とされていたそうです。
それに比べて景姫は、ホリが深く目が大きい。
背が高く、少し痩せていて。
顔が小さい。
要するに当時の基準からすると、醜女だが、今で言うモデルのような容姿かと。
従って、外国人を見ていた堺の海賊からは、美人だともてはやされていました。
実際の戦を体験し、己の未熟さを理解し、普通になろうとした時、美に関してうるさい琴姫は、景姫の美しさに打ちのめされました。
まぁ、時代により美の価値観って全然違うんでしょうね。
時代物で、史実に忠実に描こうとしているので、結構昔の書物の引用も多くちょっと読みづらい点もあります。
それを除いても、非常に面白いので、結構すぐに読めてしまいましたね。
第三巻の後半は、もうクライマックスといった感じです。
後ろ15頁ぐらいは、もう鳥肌もんです。
気弱だった景親が、姉を思い、大声で叫んだ!
これほど次の巻を早く読みたいと思ったこともなかったかな。
最後の4巻は、もう怒涛の戦。
どっちが勝つのか。
もうハラハラって感じ。
ネタバレとは言いつつ、やはり読んでほしいので結末は言いません。
ただただ、面白かったと。
みんなの期待を大きく裏切ると思いますよ。
これは本当に面白かった。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:2
名前も少々難しくて読みやすいかというと、そうではない。
さっきも言ったけど、結構昔の書籍の引用も結構あって、難しい。
織田方の真鍋海賊の当主は、真鍋七五三兵衛(まなべ しめのひょうえ)っていう名前だし。
◆意外度
意外度:4
意外度というか。
ワクワクしながら、次はどうなるかと読むのは意外だからか。
そうなると、意外度は高いのかな。
先の予想ができないって感じですね。
◆夢中度
夢中度:5
全4巻を1週間程度で読んだと言うことは、それほど夢中になったと言うことですね。
以前から知っていた小説なので、確かに期待していましたが。
面白いですね。
夢中になりました。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:5
そりゃ満点でしょう。
面白い。
なんだろう、もう読みふけりましたね。
これは本当にみんなに読んでもらいたいな。
この本を読んで、日常での考えが結構変わります。
泉州の海賊の気持ちよさ。
切られた時にも、「切られてもうたやん!」とか。
手を切られて「手切られてもうた! 誰か手貸してくれ!」って。
読んでスッキリでしたね。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。