今回は、「蜜蜂と遠雷」。
恩田陸氏の作品です。
この小説は、なんか面白そうな本ないかなと、探していて見つけました。
結構好きな賞で、本屋さんが選ぶっていうのがあります。
あれで見つけました。
以前、ピアノの調教師の話がありましたが、あれは正直自分には合わなくて、面白くなかったのを覚えています。
しかし、今回は、なんか裏表紙の概要を読んで、面白そうって直感しました。
説明・あらすじ
舞台は、芳ヶ江(よしがえ)国際ピアノコンクール。
自宅にピアノがない養蜂で生計を立てている家庭で育った風間塵(かざまじん)。
パリのオーディションに突然現れた、この変わった青年。
驚くのは、その天才的なテクニックと、故ユウジ・フォン=ホフマンの推薦。
芳ヶ江国際ピアノコンクールに集まるコンテスタントたち。
その中でも一際目立つ3人。
マサル・カルロス・レヴィ・アナトール。
栄伝亜夜。
そして、風間塵。
第一次、第二次、第三次。
そして本選。
彼らは、どのような戦いをしていくのか。
風間塵のピアノは受け入れらるのか。
それとも、多くの拒絶の中、沈んでいくのか。
天才2人に対して、どう戦っていくのか。
続々するコンサートのリアルな描写と、緊迫感が半端ない。
読んだ時の感想 注!ネタバレ
素晴らしい。
まさにこの本はすごいって感じがしましたね。
さすが、本屋さんが選んだ小説という感じです。
しかし、なんだろう、この恩田さんのピアノの知識は。
半端ない。
名前を見て、男性だと勝手に思い込んでいましたが、女性の方です。
子供の頃から、クラシックが好きな父親の影響を受けて、ピアノも習っていたこともあり、大人になった今でも、楽しくピアノを弾いているそうです。
だから、本の中からも、この人は音楽が本当に好きなんだなっていう思いがひしひしと伝わってきます。
ピアノやクラシック音楽に、特に深い愛情が感じられました。
この本を読んでいるときに、出てきた名曲を実際に聴きたくて、何回かYoutubeで聴きました。
しかし、悲しいかな。
違いを聞き分ける耳を持っていないため、こんな曲なんだっていうことしか。。。
もっと違う楽しみができれば、クラシック音楽も楽しいんだろうなって、少し残念に思いましたね。
本の中で、いろいろ説明もしてくれているので、クラシックに全く詳しくなくても、すごく勉強になりました。
基本的にすごく面白い。
なんと言っても気持ちいいのは、嫌な人がほとんど出て来ないっていうところです。
小説って、どうしてか、すごくいやな奴を出してきますよね。
それがこの本ではなく、すごく気持ちよく読める。
まあ、強いて言えば、ジェニファ・チャン。
あれはまさに中国系っていう感じでしたね。
中国系とアメリカ人。
悪いところを集めるとああなるのかと。
なぜ、私が落ちたんですかって詰め寄り、せっかくの懇親会をほとんど台無しにする。
正直、こんな女性は世界にはいるんだろうなっていう。
少々うんざり感も。
風間塵の鋭い聴覚。
自然の中で培われた超能力。
超能力って、体をうかしたりとか、そんな変なものではない。
ある状況下で、ずば抜けて伸びたそのひとの特技。
視力がすごくいいというのも超能力。
耳がすごくいいのも超能力。
この本は、長いがすごくいい本でした。
総評
◆読みやすさ
読みやすさ:2
少々、読みづらいところもあります。
なんというか、結構感想というか、音楽を聞いてイメージする風景なんかを永遠と語るところは、少し読み飛ばしたい衝動に駆られました。
ただ、登場人物は多くないので、名前で混乱するということはなかったです。
中国人と韓国人のコンテスタントが多く出場していますが、彼らにほとんどスポットが当たらないので、難しい名前を覚える必要もありませんでした。
◆意外度
意外度:2
意外度はないですね。
すんなりと、成り行きをゆったりと読み進めていくという感じです。
しかし、意外度はないけど、それが全く違和感がない。
◆夢中度
夢中度:5
物語としては、平坦であるという感じですが、しかし結構夢中になりますね。
意外度ではないけど、次のストーリーが気になるという感じで。
いい本はこんな感じなんでしょう。
◆読んだ後のすっきり度
読んだ後のすっきり度:5
最後はどうなるか。
これは書けませんが、ある人にとっては意外で、ある人にとっては、そうだろうって感じるかもしれません。
いろんなエンディングが想像できる物語ですから。
読書について
本を読んでいると何か吸い込まれるように、その物語の中に没頭してしまいます。
いい意味でも、悪い意味でも。
時に深く考えさせられることもあります。
人生にとって読書、本を読むというのは非常に大切なことだと私は考えています。
最近世間では本離れが進んでいると言われています。
本を手にする代わりに、なんでもスマフォで調べたり、スマフォで小説を読んだりと。
ある意味それは時代の流れかもしれないのですが、しかし私は紙の本を手に取って読んでもらいたいと考えています。
もちろん中には読むに値しない駄作も数多くありますが、それ以上に良い本はたくさんあります。
駄作の中にもそれぞれ考えさせられることもあり、無駄な本はあまりないと考えています。
もっとみなさん本を読みましょう。
そこから何か、ほんの少しでも自分を高める何かが見つかるような気がします。
ほんの少しかもしれませんが、それが積もると立派な財産となります。