以前このブログで紹介した本「サイコロジー・オブ・マネー」。
著者は、モーガン・ハウエルという人です。
ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナーで、コラムリストとして活躍されています。
この本は、20章からなっています。
一つづつが非常に簡潔にまとめられていて、読みやすくなっています。
この1つの章だけでも、一つの記事が書けるほど、とても重要なテーマについてかかれています。
是非、投資をする人だけでなく、成人した人には一読してほしい本です。
今回は、「足るを知る」ってことです。
足るを知る
これについて、事例として2件、記載されています。
事例としては、「足るを知る」を知らなかった男としてです。
1件目は、スラム街で育った大富豪が、すでに富豪であるにも関わらず、ビリオネアを目指したため、インサイダー取引に手を出してしまい、逮捕され、信用を一気に落としました。
富豪として十分な資産があるにも関わらず、満足することができなかった。
足るを知らなかったということです。
同じように巨万の富を得ているにも関わらず、詐欺まがいの勧誘で信用を一気に無くした人物についての事例として上がっています。
ここで著者が言いたかったことは、まさに「足るを知る」だったのです。
上を見ればキリがない
足るを知るというのは、難しいと考えることがあります。
足りているかどうか。
それは、対象物を誰にするかにより違ってきます。
会社の同期とするか。
同じ年齢のサラリーマンか。
同じ業種の同年代か。
それともテレビに出て活躍している芸能人か。
世界で戦っているメジャーリーガーか。
誰と比べると足りているのか。
それとも、純粋に自分がやりたいことがやれているか。
相手を見つけて、その人よりもっと資産を持ちたいと思うのか。
それとも、こういうことをやりたい、こんな生活をしたいという時に、資産は足りているか。
こんな生活がしたい。こう言うことをしたいと言うのは、やはり比較対象物がどうしているから、同じようにしたい。もしくはそれより少し上を行きたいと思うんでしょう。
例えば、高級スポーツカーに乗りたいと思っても、普通のサラリーマンはまずほぼ乗っていないので、それは単なる夢ってことになります。
が、比較対象としている人たちの多くがスポーツカーに乗ってれば、自分もそれが単なる夢ではなく、手に入れたいと言う欲求になってきます。
この本に出ていた人も、十分な資産を持っていたにも関わらず、対象物をもっと多くの資産を持っている人としたため、無謀な利益追求に走りました。
十分裕福な生活をしているにも関わらずです。
現実的な目標を見つける
今回なぜこのような記事を書こうと思ったのか。
それは、自分自身が、本来の目標をきちんと定めていなかったのではないかと思ったからです。
少し利益が出たからといって、その利益に満足せず。
または、当初は満足していたけど、徐々に満足できずにリスクを取りに行っているのではないかと不安になったからです。
目標は何か。
それは老後に、少し裕福な生活をして、お金に困ることがないように。
最終的には、老後施設に入り、子供たちに迷惑をかけないようにすることです。
それに必要な資産を貯めておくこと。その資産を生み出すマネーマシンを作り上げておくことが目標です。
というと目標はどの程度になるか。
2019年に金融庁が発表した、例の2,000万円問題。
あれは、もう常識的な内容をただ公表しただけのことなのに、一部のメディアや、年金について全く理解できていない国民が騒いだ問題です。
老後に2,000万円で足りるのかというと、受給する年金や退職金、資産、家族構成など、いろんなパターンがあり、一概には言えません。
自分の場合はどうかと言うことをきちんとシミュレーションする事が大切です。
私の場合はどうか。
目標としては、年金受給時までに資産としては、3,000万円。
不就労収入として、固定で13万程度(現金化可能な流動性資産)。
資産の4%の引き出し。
(3,000万円 × 0.04 = 120万円/年間 10万円/月)
と言うことで、65歳までに3,000万円貯めると言うのが、最低限の目標となります。
資産として1億円とかあれば、かなり楽でしょうが、そこを目指してリスクを取ると言うのは、年齢的にも無理です。
若い時には、多少リスクを多めにして、年齢を重ねるごとにリスクを減らしていくと言うのは、投資の常識ですから。
それを考えると、無理するのはかなり危険だと思いました。
最近少々自分が思ってた以上にリスクをとっているんじゃないかと思いました。
そして、何度も読み返しているこの本の「足るを知る」という言葉を見て、考え直してみたのです。
当然まだ目標には達していませんが、もう少しピッチを落としても、十分達成可能な目標です。
もっと慎重に。謙虚に投資をやっていこうと思いました。
最後に「サイコロジー・オブ・マネー」について
この本は、本当に名著だと思います。
何度も読み返しています。
内容も非常にためになるというか、考えさせられることが多いです。
それも一見投資とは関係ない事象を例にして、投資・運用も同じですよっていう感じで記載されています。
ウォーレンバフェットが、金持ちになるには、ゆっくりとなる。
とか。
投資には、参加料が必要だとか。
過去の事例はあくまで過去の話であって、同じ事象が起こるかはわからない。
というか、過去と同じことが起こることはほとんどないと。
市場が大きく動くときは、誰も予想できない事象によってであって、それを事前に察知することはできない。
でも、そういう事象こそが資産の多くに影響を及ぼすって。
だから、エコノミストが将来を予想しようとしても、そこにはさまざまな制約がある。
今の状況がそのまま続いたらとか、今の国民の消費感情が変わらなければ。とか。
雇用状況が今と同じであればとか。
そんなのは、当然あり得ないですからね。
この本にもあるように、何が起ころうとも、投資を続けることが、唯一の道であり、そこから脱落しないことだけを考えることが大切だと。
ウォーレンバフェットの年間運用利回り20%以上というのは、確かに驚異的だけど、もっとすごいのは投資を長い間続けていることだと。
ウォーレンバフェットの資産のほとんどは、年金受給年齢に達した後に増やしたものだそうです。
この本については、またネタを引っ張ってきて書くかもしれません。
みなさんも一度読んでみてはいかがでしょうか。